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2024.01.17

直貼り、二重床、ふかし壁って何!?

直貼り、二重床、ふかし壁って何!?

~この記事でわかること~

  • 床には「直貼り」と「二重床」の2種類の工法がある
  • 床の工法の判別方法は踏み心地や音などで確認を!
  • 壁には「直貼り」と「ふかし壁」の2種類の工法がある。
  • 壁の工法を判断するには壁を叩いてみよう!

みなさんこんにちは!
突然ですが、みなさんはマンションの内装の構造について説明できますか?マンションのリノベーションに携わって間もない方は「直貼り」「二重床」と聞いてもいまいちピンとこないかもしれません。
筆者も最初は「二重床って何!?」って思いました。そんな筆者のようにならないために、今回はマンションの内装の構造について解説していきます!
最後まで読んで是非参考にして頂けると嬉しいです!

マンションの床の工法について学ぼう

まずはマンションの床の工法から説明していきます。

RC造マンションの床の躯体部分(床スラブといいます。)は基本的に上記の画像のようになっています。そして、このコンクリートの上に仕上げを施工をしています。その施工の仕方は主に「直貼り」と「二重床」の2パターンがあります。

ここからは「直貼り」と「二重床」について説明していきます。

 

◎直貼り

引用:EIDAI

床スラブ上に直接床材を張る施工方法のことをいいます。以前は主流だった工法です。

 

【メリット】
・工費、工期を抑えられる。

 後ほどご紹介する「二重床」に比べ、工程や部材が少ないため、工費・工期を抑えることができます。

【デメリット】

使用できる床材が限られる。
直貼りの場合は直貼りに対応している床材を張らなければなりません。現在では二重床が主流の為、直貼り用のフローリングの種類は多くありません。特に無垢フローリングは直貼り用のフローリングが少なく、選択肢が限られてしまいます。

水回りがあまり動かせない可能性がある。
直貼りの場合は床スラブと床材の間に空間がないため、水回りの配管が下記の画像のようにスラブを貫通し、スラブ下に配管されている場合があります。

引用:Next Mankan

この場合、スラブ下の排水配管を移動することができず、スラブ上の排水配管の立ち上がりも考えると水回りをあまり動かすことができません。

 

◎二重床

引用:EIDAI

床スラブの上に支持脚を設置し、その上に床下地と床材を施工する工法です。

 

【メリット】
スラブと床材の間に空間ができる。
スラブの上に支持脚を設置して、その上に下地を施工するのでスラブと床材との間に空間ができます。その空間に配管や配線を施工することができます。

配管工事がしやすい。
床とスラブ下間の空間に配管を施工するため、直貼りに比べ配管を移設させやすく、点検口を作っておくとメンテナンスもしやすくなります。
水回りも動かしやすく、リノベーションに有利です。

【デメリット】
工費・工期がかかる。
直貼りに比べ材料が増えるのでその分工費がかかります。また、支持脚や下地を施工するための工期が掛かってしまいます。

天井が低くなることがある。
元々直貼りだった部屋を二重床にすると、床が上がる分床から天井までの高さが低くなります。特に梁下は気を付けて下さい。

リノベーションのタイミングで直貼りから二重床に変えることも可能ですが、マンションの管理規約に床の工法についての規定が書いてある場合があります。予め確認しておきましょう。

床の工法の確認方法

ではどのようにして床の工法を確認したらよいのでしょうか。

竣工図面を入手することができれば竣工図面で確認するのが良いのですが、リノベーションの場合は竣工図面が手に入らない場合もあります。その場合は現地調査の際に以下の点を確認しましょう。

【確認方法】

1.足踏みした時の音
足踏みした時の音の違いがないかを確認してみてください。軽い反響音があると二重床、硬くドンドンという感じだと直貼りです。

2.床材の踏み心地
直貼りの場合は直貼り用のフローリングを張っている場合が多く、直貼り用フローリングはフローリングの裏にクッション性のある材料がついています。その為、フローリングを踏むとフワフワした踏み心地になります。

引用:e-KENZAI

3.玄関と廊下との段差
玄関と廊下の段差があまりなければ直貼りの可能性が高いです。しかし、二重床でも廊下の床スラブが下がっていて段差があまりない場合もあるので気をつけましょう。

マンションの壁の工法について学ぼう

次にRC造マンションの壁の工法について説明していきましょう。マンションの壁には外壁面や隣界壁面などの「躯体壁面」と空間を仕切る「間仕切り壁」があります。

躯体壁面は以下の画像のようになっています。

躯体壁面の施工方法は主に「ふかし壁」と「直貼り」の2パターンがあります。

◎ふかし壁

引用:エステムコートグラン吉祥寺

木軸やLSG(軽量鉄骨)などで壁をふかしてPB(プラスターボード)を貼り、その上に仕上げ材を施工する方法です。LGSで下地を組むことを軽天工事ともいいます。

 

【メリット】
躯体との間に配管を通すことができる。
躯体と下地との間に空間ができるので、そこに空間に配管や電線を通すことができます。その為、室内に配管や電線が現れることがなく、すっきりとした納まりになります。

【デメリット】
工費・工期がかかる。
木軸やLSGで下地を組む分、直貼りに比べ工費と工期がかかってしまいます。

◎直貼り

直貼りとは以下の画像のように躯体に直接壁紙を貼る工法です。

引用:tool box HP

または以下の画像のような工法を「GL工法」と言い、GLボンドという接着剤で石膏ボードを壁に貼り、その上に仕上げ材を施工する工法があります。

※画像上の「タイガーボード」とは吉野石膏の石膏ボード製品です。

引用:吉野石膏

【メリット】
空間を広く使える。
壁をふかしていない分、部屋を広く使うことができます。

工費・工期が抑えられる。
木軸やLSGを組むための材料費や工賃がかからないため、ふかし壁に比べて費用や工期が抑えられます。

【デメリット】
配管やコンセントボックスが露出する。
躯体と仕上げの間に空間がないので、仕上げの裏を通して配線、配管することができません。そのため配管やコンセントボックスがどうしても露出してしまいます。

躯体にクロスやGLボンドの跡が残る。
ふかし壁にするのであれば跡が残っても問題ないですが、躯体現しにする場合はクロスやGLボンドの跡が残ってしまいます。特にクロスは綺麗にはがれない場合があるので前以てお客さまに説明をしておきましょう。

 

また、リノベーションには上記の他に「躯体現し」という工法もあります。マンションの躯体部分を内装で覆い隠さず露出したままにすることをいいます。
詳しくは▼の記事をご覧ください。
いまさら聞けない!?リノベーションでよく聞く「躯体現し」とは!?

壁の工法の確認方法

では次に壁の工法の確認方法を紹介していきましょう。

【確認方法】

1.外壁面や隣界壁面をたたいた時の音
コンコンという軽い音がしたときはふかし壁、ドンドンという硬い音の場合は直貼りの可能性が高いです。

2.点検口から目視で確認
ユニットバスやエアコン周りなどの点検口を覗くと壁の下地が見える場合があります。

3.壁にピンを刺す
何か所かにピンを刺してみてください。直貼り(GLボンド以外)の場合は壁にピンを刺しても奥まで刺さりません。ふかし壁の場合は木軸やLSG以外の箇所は奥まで刺さります。

<GLか木軸か?見分け方>
GLはドット状にボンドがついているのに対し、木軸は垂直に立ってるので、軽い音と鈍い音がする箇所を探し、その音が飛び飛びになるか、垂直にずっと鈍い音がするかを聞き分けましょう。

天井に関しては壁とほぼ同じです。ダクトの関係上、水回りのみふかしで他は直貼りの場合もあるので現地調査の場合は注意してください。

まとめ

今回はマンションの内装の工法についてご紹介しましたがいかがでしたか?
床の直貼りや壁の直貼りは、木造戸建てにはないマンション独特の工法かと思います。

リノベーションをする際にあえて床や壁を直貼りにすることは少ないかと思いますが、リノベーション前のマンションでは直貼りの所も多いので現地調査時に見る機会もあるのではないでしょうか。
直貼り壁からふかし壁に変更することは特に問題ありませんが、直貼り壁から躯体現しにしたい場合は注意が必要です。例えば壁紙が綺麗にはがせない場合なども考慮して提案しましょう。

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