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「間取りの決め方」とは?
いざ、リノベーションの設計をはじめようとしても何から手を動かし始めるんだろうと漠然と不安を持っている方も多いのでは?
いろいろな方法論はあるかと思いますが、実際にどんなプロセスで手を動かしはじめているのか、中古マンションのリノベーションで住宅設計をしていた編集部メンバーとして、当時どんな「間取りの決め方」をしていたのかをお伝えしようと思います。
リノベーションで設計を行う職業の中にはいくつか顧客の種類が分かれるかと思いますが、私が行っていたのはあくまでも個人邸です。個人のお客様はほとんどの方がはじめて家をつくる方々で要望を聞き出すのも一苦労な場合もあります。
そんな要望をしっかり図面に落とし込むことも大変ですが、実はその要望を聞き出し、まとめ、図面を描き始めることは教科書や参考書では当然のように割愛されていて、誰からも教えてもらえなく。大きな困り事でした。
今回はそんな連載第二回目。今回も事例を交えて、思考プロセスをご紹介いたします。
第一回記事はこちら
代表的なステップ
ここからは実際のリノベーションの事例をもとに解説してみます。
【参考事例 データ】 ・家族構成:単身 【お施主様の要望】 ・夜景を楽しみたい ※詳しい情報はこちら(リノベる。サービスサイトへ) |
まず一つ目にやる事としては「物件の現地調査・実測」です。そして二つ目が「お客様へのヒアリング」です。
この二つのステップで、面積や必要な部屋の用途・数や収納量など「数量」についてはしっかり事前確認して進めれば皆さん困ることはないかと思います。
大抵、私がつまずいたのはお施主様へのヒアリングから実際に聞いた定性的な要望を、どう整理して、図面を描き始める上での「軸」をどのように浮き上がらせれば良いのかがわからなかったのです。
軸の傾向としては、はじめにお部屋全体の設計に大きく関わる要望を拾う上で、面積の大きな部屋や、複数の部屋への影響がある内容などがこれにあたることが多かったかと思います。
本案件のお施主様の要望では「夜景を楽しむ」ことが大きな「軸」となりました。
思考の流れ
簡単に思考の流れをまとめますとこのような流れでした。
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このように要望一つ一つを掘り下げていき、住まいづくりにリンクさせていきました。もし、この掘り下げに不足情報があればお客様に遠慮なく聞いていくことが必要かと思います。
というのも、ここの認識が間違って進めてしまったことがありましたが、せっかく練ったプランを大きく描き直すことになり失敗をしてしまったことがあったのです。
不特定多数の方が利用する用途の建築とは異なり、あくまでも個人の空間で、個人の意見が判断基準となりますので、ご自身の持っている常識は一旦疑って良いかと思います。というよりも住宅はそれくらい自由なものであり、そこがリノベーションならではの醍醐味です。
「夜景を楽しむ」以外の要望は、どのようにブレイクしていったのか下記にまとめます。
ケース事例:リノベーション前後の様子
リノベーション後の間取り
実際の写真
夜景を眺めることのできるダイニングキッチン
室内窓が特徴の寝室、奥の壁にはビンテージの照明も
左:玄関からの抜け、視界の先には北側の窓が見える
右:タイルやビンテージの照明が上質さも演出
イメージが湧いてきましたか?
当然ながらこれ以外にも考えるべきことや、微調整している部分は大いにあります。そもそも、お客様も十人十色で一つの始め方では対応しきれないと思います。是非、自分なりの「間取りの決め方」を作り上げてみてください。
筆者:千葉剛史
大学建築学部を卒業後、オフィスデザインを手がける企業に新卒入社。その後、以前より強く関心のあったリノベーションを仕事にするべく「リノベる」へ。以来、数多くのお客さまの住まいづくりに携わる。現在はリノベーションを世間に広げるべく広報職に従事。趣味は外遊び。友人と登山やキャンプを楽しむ。