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2023.11.20

建具の役割や種類、それぞれの特徴などについて徹底解説!

建具の役割や種類、それぞれの特徴などについて徹底解説!

~この記事でわかること~

  • 建具には外部建具と内部建具があり、それぞれに役割がある。
  • 建具の種類について、それぞれの特徴を知ろう。
  • 内部建具は木製が主流。
  • 用途に合った建具を選ぼう。

みなさんこんにちは!
お家づくりに欠かせないアイテム「建具」。一概に建具と言っても様々な種類があり、用途やメリット・デメリットも異なります。
そこで今回は「建具」について解説していきます。この機会に建具について学び、お客様の用途や空間に合った建具を提案しましょう。
是非参考にして頂けると嬉しいです!

建具とは?

まず最初に「建具」について説明していきます。
建具とは主に開口部分に取り付けられる器具や部品の総称の事です。具体的にはドア、窓、障子、引き戸、戸棚、ブラインド、カーテン等が含まれます。

建具の種類や特徴はその使用される建物の様式、文化、地域の気候などによって大きく異なります。
例えば、日本の伝統的な建築では、障子や襖などの和風の建具が典型的であり、これらは室内の光の調整や空間の区分けに使用されます。
欧米の建築では、より頑丈で断熱性の高い木製または金属製のドアや窓が一般的です。

《建具の役割とは??》
建具は主に「外部建具」と「内部建具」に分けられます。
それぞれの役割は以下になります。

【外部建具の役割】

1.安全性とセキュリティの提供
・外部建具は防犯の第一線として機能しなければいけなく、施錠機能を備えて不審者の侵入を防ぎます。
・耐久性と強度が高い素材を使用し、台風、地震などの自然災害から室内を守ります。

2.断熱と気密性の向上
・外部建具は断熱材を使用したり、二重窓にすることでエネルギー効率を高め、室内の空気を冬は暖かく、夏は涼しく保ちます。

3.照明と通風
・窓やドアのガラス部分を通じて自然光を室内に取り入れ、照明コストを削減します。
・外部建具から新鮮な空気を室内に取り入れ、室内環境を快適に保ちます。

4.美観の向上
・外観デザインの重要な要素として建物のスタイルに合わせ、建物の顔ともいえる役割を果たします。

5.機能性
・バリアフリー設計や低い敷居など、使いやすさに配慮した設計が求められることがあります。

【内部建具の役割】

1.空間の区分
・内部建具は主にリビング、寝室、浴室など様々な機能を持つ空間を分けるために使用されます。

2.プライバシーとセキュリティ
・特定の部屋への入室を制限し、プライバシーを保護する役割があります。
・施錠機能を備えることもでき、セキュリティ対策にもなります。

3.音響管理
・音が外に漏れないように遮音性能を持つ建具が使われます。

4.熱の調整とエネルギー効率
・特定の部屋を暖房や冷房する際、建具を閉じることで外部への空気の流れを防ぎ、エネルギー効率を良くします。

5.美観とデザイン
・内部建具は素材、色やデザインによって室内のインテリアとしても機能するため、住空間全体のインテリアのテイストに合った建具を選びます。

6.機能性
・スライド式のドアや折りたたみ式のドアは限られたスペースを有効活用することができます。
・幅広いドアやなだらかな敷居は車いすユーザーや高齢者のアクセスを簡単にします。

また、現代では利便性を高めるために、電動で開閉する建具や、セキュリティシステムが組み込まれたスマート建具など、技術の進歩とともに進化を続けています。

今回は建具の中でも「内部建具」に注目して解説していきます。

《内部建具の種類》
内部建具を開閉方法で分類すると主に以下の3種類があります。
1.開き戸(ドア)
2.引き戸
3.折れ戸

ではそれぞれの建具の特徴を見ていきましょう!

開き戸の特徴と設計時に気を付けること

1.開き戸(ドア)

住宅で使用される開き戸には主に「片開き戸」と「両開き戸」「親子ドア」があります。

「片開き戸」
・・・扉1枚で開閉する最も一般的なドア。
「両開き戸」
・・・2枚のドアを真ん中で開閉するドア。
「親子ドア」
・・・両開き戸に似ているが片方のドアが大きく、もう片方は小さいドア。通常は大きい方のみ開閉し、大きな荷物を運び入れる時などに両方とも開けて使用する。

◎設計時に気を付けること

①開閉部分のスペース
開閉部分が必要な為、扉が開く部分には物を置くことができません。また開けた時に他のものに干渉しないようにしましょう。
よくある失敗例のひとつに、ドアを開けた時に部屋の照明のスイッチがドアで隠れてしまって使いづらいという事例があります。

引用:DAIKEN HP

②開き勝手(内開き・外開き)
用途や間取りに応じて開き勝手を考えましょう。なおトイレに開き戸を設置するときはトイレ内で人が倒れてもドアが開くように、基本的に外開きにします。

③吊り元(右・左)
こちらも用途や間取りに応じて吊り元を考えましょう。吊り元を変更するだけで使い勝手が大きく変わる場合があります。

引き戸の特徴と設計時に気を付けること

2.引き戸

次に引き戸について説明していきます。古くから日本で使用されてきたタイプの建具で、レールに沿って水平に開閉します。

住宅で使用される引き戸には主に「片引き戸」「引き込み戸」「引き分け戸」「引き違い戸」があります。

「片引き戸」
・・・1枚の戸が横方向のレールに沿って開閉する建具。

引用:DAIKEN HP

「引き込み戸」
・・・片引き戸の引き込み部分を壁の中に引き込む建具。

引用:DAIKEN HP

「引き分け戸」
・・・2枚の戸が左右のレールに沿って引き分けて開閉する建具。

「引き違い戸」
・・・2枚以上の戸が左右どちらにでも動かせる建具。

◎設計時に気を付けること

①開閉部分のスペース
開き戸と違い、前後に扉の為のスペースは必要ありません。しかし片引き戸や引き分け戸の場合、引き込み部分にはコンセントやスイッチを設置することができません。

②気密性・遮音性
開き戸に比べると気密性や遮音性が低いため、音響に配慮する部屋には開き戸の方が適しています。

③メンテナンス性
引き戸は上部、下部、上下のいずれかにレールを設置します。下部にレールを設置する場合はレール部分にゴミが溜まりやすく、引き込み戸は引き込み部分にゴミが入りこみやすいので気をつけましょう。特にペットを飼っている場合はペットの抜け毛が滑車や引き込み部分に入って詰まってしまうことがあります。

折れ戸の特徴と設計時に気を付けること

3.折れ戸

最後は折れ戸についてです。複数の連なった扉を折り畳むようにして開けます。扉の前後のスペースをあまり必要としない為、狭いスペースに最適です。

◎設計事に気を付けること

①レールの設置箇所
折れ戸を設置する際は上下にレールを設けますが、上部のレールのみで開閉できる折れ戸も存在します。下部にレールがないので、レールにホコリが溜まる心配がありません。また収納の扉として使用する場合は、キャスター付きのキャビネットの出し入れが簡単です。しかしレールが上部にしかない分、固定が不安定になりやすく扉が開閉の際にガタガタと揺れを感じやすくなります。

②開口の幅
折れ戸を開けた時、畳んだドアの分だけ開口が狭くなります。収納の扉として折れ戸を設置する際は、折り畳んだ部分の荷物が取りづらくなってしまいます。荷物を取りやすくするためにはフリーオープン仕様がおすすめです。フリーオープン仕様とは左右どちらでも折り畳むことができる折れ戸です。なお、フリーオープン仕様にする場合は、下部のレールが必要となります。

内部建具の素材について

では最後に内部建具に使用される素材について説明していきましょう!内部建具に使用される素材は主に以下の4つがあります。

①木製
②アイアン
③紙(襖、障子)

ではそれぞれを見ていきましょう。

①木製建具
木製建具には大きく分けて「框戸」と「フラッシュ戸」の2種類があり、「框戸」は戸の周囲に框という枠を回して戸板を挟み込みます。一方「フラッシュ戸」は框と桟で枠組みを作り、表面には突板や合板を張って仕上げます。既製品の建具では仕上げに塩ビシートを張ったフラッシュ戸が主流です。色やデザインなど汎用性が高く、内部建具では主に使用されています。
▼框戸

▼フラッシュ戸

②アイアン
アイアンならではの素材感が人気で、インダストリアルテイストを中心に用いられている素材です。デザイン性があり耐久性が高いのが特徴ですが、木製建具に比べて材料費が高くなる場合が多いのが難点です。

③紙(襖、障子)
紙単体で用いられるわけではなく、木製の桟に組み合わせて使われます。和室に合わせることが多いのですが、最近ではモダンな柄の襖や障子も発売されており、フローリング貼りの和モダンの空間に合わせる場合も増えています。
木製建具に比べ耐久性や遮音性は低く、障子の張替えのように定期的なメンテナンスが必要です。

まとめ

今回は「建具」についてご紹介しましたがいかがでしたか?一概に建具と言っても様々な種類があり、開き勝手や吊元、種類などを間違えるととても使い勝手が悪くなってしまったり、空間を有効活用できなくなってしまいます。
既に設計をしている方は建具についてすでに知っているかもしれませんが、それぞれの建具の用途や提案上の注意点などを復習するきっかけになったら嬉しいです。
これから初めて建具を提案する方はそれぞれの特徴や注意点を把握し、用途に合った提案をしましょう。

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