~この記事でわかること~
- 合板は建材のマルチプレイヤー
- 伸び縮みが少なく施工のしやすい建材
- ディティールの収め方で雰囲気自由自在
- 取手や素材の勝ち負けをしっかりと検討しよう!
造作家具、デザイナーの皆さんはどの様に収めていますか?
お客様にとってもフルリノベーションの醍醐味とも言える「造作家具」ですが、予算に収めるために仕様や造りをシンプルに抑えなくては・・・・という場合も少なくないかと思います。
そこで、既に多くのデザイナーが採用している方法ではありますが、今回は改めて「合板」を使用して”コストを抑えながらも造作家具を美しく仕上げる方法”をご紹介します!
ぜひ参考にしてみてください!
目次
1. 合板とは?
まずは「合板」について復習しておきましょう!
合板とは、木材を薄く剥き乾燥させた単板を繊維方向が直交するように重ねて接着剤で貼り合わせた木質材料です。
引用:日合連ホームページ
合板製造業にかかわる全国的な中央団体である日本合板工業組合連合会の情報をもとに、合板の10の特徴を確認しておきましょう。
01 重さの割にその強さが大きい
02 広い面積が得られる
03 伸び縮みが少ない
04 切断、くぎ打ちが容易である
05 面としての強さが得られる
06 木材だから熱伝導率が小さく、比熱が大きい
07 乾燥木材だから電気伝導性が少ない
08 木材だから音・機械振動の吸収性がある
09 木材だから視覚・触感に優しい
10 木材だから和らかな感覚を与える
「日合連」のウェブサイトでは、さらに詳しく合板の特徴や種類が紹介されていますので、一度目を通してみると良いかもしれません。
上記の様に、合板はコスパも良く機能性にも優れたマルチプレイヤーです。この合板を造作家具に採用しない手はないでしょう!
2. 造作に「合板」を賢く使おう
では、早速合板を使用した事例を3件ご紹介していきましょう。
引用:dezeen
1つ目は、SABO Projectがパリのアパートメントを改修した事例です。
全体にバーチ合板をふんだんに使用しながらも、その他を白とグレーでまとめることでモダンな印象を引き出しています。
造作部分のディティールについても、くり抜き加工の取手・方建(仕切り板)勝ちのデザインや、オープンの棚と扉付きの棚のバランスを保つことで空間にリズムが生まれています。
引用:dezeen
2つ目は、ロンドンのNimtim Architectsが1920年代の歴史的な家をリノベーションした事例です。
合板で作られた多機能な造作パーテーションは、カーブと直線が巧みに組み合わされていて、洗練された雰囲気のなかに暖かさと柔らかさを併せ持っているのが特徴的です。
こちらの事例も、オープンの棚と扉付きの棚を上手く混在させることで、壁面収納で陥りやすい圧迫感を払拭しています。
引用:矢野建築設計事務所
3つ目は、矢野建築設計事務所が高知県の相生町の2階建てビルを改修した事例です。
こちらの事例ではラワン合板を基調に部屋全体はスカイグレイ色でまとめることで、ラワンの赤みのある木目と無機質さのコントラストがとても美しく映えます。
壁面収納からデスク・ベンチ・洗面台までラワン合板で統一されており、ミニマルなフォルムながらしっかりと考え抜かれたディティールが光ります。
以上の通り、一言で「合板で造作家具」と言ってもディティールの収め方やお部屋全体とのバランスを整えることで、コストを抑えながらも空間の印象をガラッと変えることができます。
合板の存在感とお部屋全体の関係性を見極めることと、取手や素材の勝ち負けをしっかりと検討することがポイントです!
3. 仕上げで雰囲気も自由自在!
最後は、番外編として着色合板についてご紹介です。
引用:ALPI
こちらは、イタリアの木材メーカーが製造している着色合板を使用した事例ですが、着色により浮き出る木目はとてもアイコニックに空間を彩ります。塗装や壁紙では得ることのできない、有機的ながら幾何学模様の様な美しい規則性は息を飲む美しさです。
この商品は、既に着色された状態で販売されていますが、現場部着色で対応をする場合は構造用のラーチ合板を使用することで類似した仕上がりを再現することができます。
※詳細の施工方法や仕上がりについては、施工前に現場と詳細に確認する様にしましょう。
さて、今回は「合板」を使用して造作家具を低コストで綺麗に仕上げる方法をご紹介してきました。
長年、建築物の構造用からコンクリート型枠・家具まで幅広い用途に利用され、シンプルな素材でありながら様々なソリューションを生み出してきた「合板」。この万能素材を、リノベーションに取り入れてみない手はないでしょう!
是非、合板の可能性を追求して素敵な造作家具を提案してみてはいかがでしょうか?
では、また次の記事でお会いしましょう!
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