サステナビリティが更に重要視される近年、リノベ業界含む建築業界では改めて「断熱」が注目キーワードとなっています。
2019年以降、リノベーション協議会主催のリノベーション・オブ・ザ・イヤーでも、最終審査会では断熱性や耐震性の性能向上をアピールする作品がすべてのカテゴリーで部門最優秀賞を争いました。まだまだ、国外に比べて断熱性能基準が低い日本ですが、今後住まいの作り手として担当者個人がしっかりお客様に説明できるスキルが問われることになるかと思います。
そこで今回は、基礎的な断熱基礎についてご紹介をできればと思います。
是非、インプットのキッカケしてみてください!
目次
なんのための断熱対策?
- 日本の四季を快適にすごす空間つくりのため
日本は、夏は平均30度を超え、冬は10度を下回るという気温差が大きいため、快適に過ごすためには「夏涼しく冬暖かい家で快適に過ごす」ことが求められます。
断熱することにより、夏は家の外からの熱を遮断し、冬は暖か空気を閉じ込めることができます。 - ヒートショックの抑止
ヒートショックとは、急激な寒暖差で血圧が乱高下することによって、心筋梗塞や脳卒中などさまざまな健康被害を引き起こすものです。断熱により寒暖差をなくすことでヒートショックの抑止になります。
ヒートショックについて(引用)
ヒートショックでとくにリスクが高いのは、冬の入浴時です。暖房をしていない脱衣所や浴室は室温が低く、そこで衣服を脱いで全身を露出すると、急速に体表面から体温が奪われて血管が収縮し、血圧が急激に上がる。温かい湯船につかると今度は血管が拡張して、急上昇した血圧が一気に下がり、失神を起こして浴槽で溺れて亡くなるということが多く発生する。
引用先:東洋経済ONLINE
- 省エネ効果
断熱によりエアコン、ファンヒーターの電気代がセーブされたりと、断熱には省エネ効果があります。国や地方でも省エネを促進しており、助成金制度もあります。
・地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
断熱材の種類
断熱材にはいくつかの種類があります。断熱材の素材によって特性が違うので、希望にあったものを選びましょう。
※また、次世代住宅ポイントの対象となる素材は決まっているため、あらかじめ確認する必要があります。
「次世代住宅ポイント」対象製品を検索する
断熱材の一部をご紹介
素材分類 | 素材名 | 特徴 |
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プラスチック | ウレタンフォーム | 発泡剤や触媒などと一緒に混ぜてできた断熱材。 ボード状のものと現場で発泡するタイプがある。 ●充填しやすく気密も取りやすい。 |
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS) | 一つ一つの粒の中に独立した気泡構造をもったボード状の断熱材。 ●値段が安い傾向がある。水に強い。ただし熱に弱い。 |
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押出法ポリスチレンフォーム(XPS) | 外張断熱工法に適したボード状の断熱材。 ●EPSよりも断熱性が高い傾向にあり、水に強い。ただし熱に弱い。 |
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ポリエチレンフォーム | 細かな独立気泡で発泡された断熱材。 ●EPS、XPSより柔軟性が高く、壁や柱の間に充填しやすい。 |
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フェノールフォーム | 熱硬化性樹脂でできた断熱材。 ●熱に強くて燃えにくい樹脂。 |
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繊維系断熱材 | グラスウール | ガラスを細い繊維にして綿状に加工した断熱材。 ●軽量かつ断熱性の高い素材。ただし湿気に弱い。 |
ロックウール | 耐熱性に優れた鉱物を高温で溶かして、細い繊維状にした断熱材。 ●熱に強い・燃えにくい。 |
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セルローズファイバー | 天然の木質繊維(古紙)を利用したばら状の断熱材。 ●吸放湿性、防音性、防火性、防虫効果がある。 |
断熱工事の注意点
せっかくの断熱材も雑に工事してしまっては台無しです。しっかり現場で仕上げを確認していきましょう。
チェックポイント
- 断熱材の隙間がないか
- 断熱材が垂れ下がったり落ちたりしていないか
- 配管、コンセント周り等に隙間がないか
- 発砲ウレタンの場合、厚さが仕様通りか
断熱工事はお客様の快適な暮らしに直結する工事になります。断熱材の素材や特性を理解し快適な暮らしを提案していきましょう。
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