皆さん、こんにちは!
世界的建築家、隈研吾さん設計の建物がひしめく高知県梼原町に行ってきました。
豊富な森林資源を活かした現代建築が地域住民と来訪者をつなぐ街のづくりとなっております。
「梼原町に行ってみたいな~」「隈研吾建築見たいな~」という方、必見です!
目次
梼原町とは?
高知県梼原町とは、四国カルストを有する人口約3,000人の街で、町面積の91%を森林が占める自然豊かな地域であり「雲の上の町」がキャッチコピーです。高知龍馬空港から、車で1時間40分ほどの場所に位置しています。
そんな山間の小さな町に、隈さんが手がけた建築物が多くあります。
雲の上のギャラリー(2010年)
梼原町中心部から少し外れた「雲の上の温泉」に併設されたギャラリー。伝統的な日本建築の軒を支える「斗栱(ときょう)」をモチーフに、刎木(はねぎ)を重ねて桁を乗せる「やじろべえ型刎橋」という世界でも類をみない架構形式を用いています。
この素材と構造が樹冠の広がりや雲のような不定形さを感じさせていて、「梼原の自然に溶け込む建築」と「橋という土木構造としての迫力」も感じる不思議な建造物でした。
高知市街地から訪れる人が最初に見る隈建築であり、自然との調和と町の象徴を備えた施設となっています。
まちの駅「ゆすはら」(2010年)
町の中心部にあるマルシェ(特産品物販)、ホテルの機能を備えたまちの駅「ゆすはら」は主に来訪者に向けた施設です。かつて梼原町には街道に沿ってかやぶき屋根の「茶堂」という旅人用の休憩施設が並び、住民が旅人に茶を提供する場があったそうです。これをマルシェ+ホテルという現代の観光客向けの施設のファサードに用いて継承する試みとなっています。
内部には渋皮を残した丸太が高天井の吹き抜けに林立しており、直接的な自然の荒々しさを感じる空間でした。
梼原町総合庁舎(2006年)
梼原総合庁舎は町役場の機能を持った施設で「防災拠点、住民の利便性、梼原産木材の活用」を重視した設計。
内外に梼原町産の杉材を用いており、「開かれた役場」を目指して大空間の広場を建物に内包しています。支える柱と梁は小断面集成材の組み合わせとなっていて、これは町内の木材加工場で生産可能な寸法とすることが理由ですが、構造部材の分割によって人が親しみやすい建物にもつながっているように感じました。余談ですが、吹き抜けに面したガラスの手すりはこれまでに私が見た建物の中で最も美しい納まりでした。
建物内には棟札が掲げてあり、建設の趣旨から関係者、事業費までが記載されています。これは今回訪れた4つの建物全てに掲げられていました。
雲の上の図書館(2018年)
図書館と福祉施設(YURURIゆすはら)の複合施設。約2,000㎡の建物ですが木造家屋が並ぶ街中で屋根形状とボリュームのコントロールを行い、街並みと山並みの間に佇むような施設になっています。
内部は靴を脱いで利用する図書館になっており、木の質感を感じる使い方がされていました。
特徴的な木組は鉄骨と組み合わせることで耐震性を確保する構造となっていて、4本の木材が1点で交わる形を自らの手で組み合わせられる模型があります。
一見複雑なようで手に取ってみると単純な組み合わせが全体として木立の雰囲気を作り出しており、エレベータのような量塊な設備は鏡面張りとして反復する木立に溶け込んでいました。
まとめ
梼原町は山間の小さな町に隈研吾作品がコンパクトに立地しています。それぞれがまちや町民、来訪者との関係性の中で成立するように建てられ、使われていました。一つのシンボリックな建築による活性化とは違う、元々そこにある資源を使い、歴史的な文脈や関係性を再定義し、複数の建物が連携してまちの価値を高める取り組みに感じられました。
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