〜この記事でわかること〜
- タイルは石や粘土を高温で焼成したもの
- せっ器質タイルは素朴で自然な風合いが魅力
- 使用場所に合ったタイルを選ぼう
- オススメタイルも参考に!
皆さんこんにちは!
以前、『【タイル】磁器タイル(磁器質タイル)の基礎知識』という記事を書きましたが、実はタイルは磁器タイルだけではなく他にも材料や燃焼温度によって『せっ器質タイル』や『陶器質タイル』に分けられます。
また、タイルによって特徴や使用用途が異なるのです!
そこで今回は『せっ器質タイル』を深堀りしていきたいと思います。
過去の記事はこちら
【タイル】磁器タイル(磁器質タイル)の基礎知識
目次
タイルの基礎知識
そもそもタイルとは一般的にどんなものなのでしょう。
タイルとは石や粘土を主原料とした生地を高温で焼成し、釉薬などによって機能性やデザイン性を付け加えた内装材になります。
《タイルの特徴》
【メリット】
・耐久性に優れている。
・経年劣化・変色がほぼない。
・酸・アルカリ性に対して影響を受けにくい。
・防汚性・清掃性・防水性に優れており、お手入れしやすい。
・耐火性・耐熱性に優れている。
・デザイン性が高い。
【デメリット】
・初期費用が高い。
・床に使用するとひんやりして冷たい。冬は冷える。
・硬いため床に使用すると足腰に負担がくる。
・目地に汚れやカビがつく場合がある。
《タイルの歴史》
最も古いタイルは今から約4650年前にエジプトのピラミッドの地下で使用されていたトルコ石色のタイルだと言われています。
日本におけるタイルの歴史は飛鳥時代まで遡ります。その頃中国ではタイルの原形ともなる、「塼(せん)」というものが建築材料として使用されていました。それが588年に百済から渡来した瓦の専門家により日本にもたらされたのです。
それ以降、日本の建築には欠かせない材料となり、現在でも様々な場所で使用されています。
近年ではプリント技術の進歩により、木目柄や大理石柄など様々な素材の質感をタイルで本物そっくりに表現することができるようになりました。
また、調湿機能や防菌性能のような機能付きタイルも発売されています。
《タイルの材質の種類》
【セラミックタイル】
陶磁器タイルのことです。焼成の温度により、「磁器タイル」「せっ器タイル」「陶器タイル」に分けられます。
【石材タイル】
天然石をタイルに加工したものです。重厚感、高級感があります。
石材タイルの一種に大理石タイルがあります。
【ガラスタイル】
透明感があり、キラキラしていて光の変化が楽しめるタイルです。
先ほど、『磁器タイル』『せっ器質タイル』『陶器質タイル』と表現しましたが、実は2008年のJIS改訂により、強制吸収率と成形方法を組み合わせた区分方法に変更になりました。
タイルメーカーのカタログには新しい表記で記載してあるところもあるので注意しましょう。
また、『押出成形』と『プレス成形』の違いとは一体何なのでしょう。
《押出成形》
湿式成形とも言われ、含水率の高い粘土を押出成形機に入れ、板状に押し出して切断したものです。
含水率が高いので焼成時の収縮があります。
焼き物特有の味わいや暖かみがでます。
主に外装に使用されることが多い成形方法です。
《プレス成形》
パウダー状の素地を金型に入れ、プレス成形機で所定の形状にする成形方法です。
押出成形に比べ焼成時の収縮がなく、品質が安定しています。
シャープですっきりした印象のタイルが多いです。
低コストで大量生産が可能です。
『せっ器質タイル』ってどんなタイル?
では今回のテーマである『せっ器質タイル(Ⅱ類)』の特徴を紹介していきましょう。
《せっ器質タイル(Ⅰ類)》
長石・粘土などを1200℃前後で焼いたタイルを指します。
<特徴>
◆素地は硬く耐久性に優れている。
◆素朴な風合いが特徴。
◆吸水率10%以下。
◆透明感はない。
暖かみがあり、自然で素朴な風合いが人気のタイルです。
「土ものタイル」と呼ばれるタイルもせっ器質タイルの一種です。
磁器タイルに比べ吸収率があるので、浴槽などには向いていません。
引用:名古屋モザイク株式会社
使用場所に合うタイルって一体どれ?
簡単にタイルの基本とせっ器質タイルの特徴を説明しましたが、実際に使用する場合どのタイルを選べばいいのでしょうか。
使用場所ごとに適したタイルを紹介していきます。
【外装タイル】
耐候性、耐水性が高いものが求められます。
磁器タイルもしくはせっ器質タイルが適しています。
釉薬タイル、無釉タイルのどちらでも使用可能です。
サイズは二丁掛と言われる227㎜×60㎜、50二丁掛と言われる95㎜×45㎜、ボーダーなどの種類があります。
引用:名古屋モザイク株式会社
【床タイル】
人が歩いたり家具をおいたりする為、耐摩耗性が求められます。
磁器タイルもしくはせっ器質タイルが適しています。
また防水性、清掃性、防滑性の機能がついているタイルも発売されています。
100㎜角、150㎜角、200㎜角、300㎜角、600㎜角などがあります。一般的に大判の方が重厚感がでます。
引用:名古屋モザイク株式会社
【内装タイル】
居室の壁のほか、洗面台やキッチンの壁などにも使用されます。
磁器タイルから陶器質タイルまで内装壁タイルとして使用することができます。
水廻りに使用するタイルは釉薬タイルの方が多いです。
大判から異形まで多様なサイズがあり、種類が豊富です。
リビングの壁のような広い面積に貼る場合は大判やボーダー、キッチンや洗面台周りはモザイクタイル、小さい異形のタイルのような小さめを貼る場合が多いです。
引用:名古屋モザイク株式会社
ではどのようにして、使用可能なタイルかを見分けたら良いのでしょう。
タイルメーカーのカタログにはタイルごとに適用箇所が掲載されています。以下のように「○」がついている場所が使用できる場所になります。
しかし、以下の場合のように同じシリーズのタイルであっても品番により釉薬と無釉があり、使用できる場所が異なる場合があるので気をつけましょう。
引用:名古屋モザイク株式会社
オススメ!せっ器質タイル
では最後にオススメせっ器質タイルをご紹介します。
『レノス221グレーミックス/サンワカンパニー』
引用:サンワカンパニー
ヴィンテージ&インダストリアル調のタイルです。シックな色味の組み合わせのヴィンテージ調のタイルなので、他のインテリアとも合わせやすく、空間も一気にヴィンテージ調の雰囲気になります。
また、室内の床・壁、室外の床など幅広い場所で使用できるところもありがたいです。
品番:TL63571
メーカー:サンワカンパニー
サイズ:221㎜×221㎜×10㎜
詳細:サンワカンパニー
『HOMURA/LIXIL』
引用:LIXIL
焼き物の味わいが出ており、高級感のあるタイルです。こちらのタイルを使用する事で空間が引き締まります。和モダンな雰囲気にぴったりのタイルです。
外壁にも使用可能。凍害エリアでも使用することができます。
品番:DCF-50B/HOA-3
メーカー:LIXIL
サイズ:235㎜×45㎜×12㎜
詳細:LIXIL
『SERRATORTE(セラトルテ)/名古屋モザイク』
引用:名古屋モザイク
土ものらしさが魅力のタイルです。表面の表情は1枚1枚ハンドメイドで仕上げているそう。世界にひとつとして同じものがないタイルなので、オンリーワンの空間をつくるリノベーションと親和性が高いですよね。
品番:SER60-4
メーカー:名古屋モザイク
サイズ:227㎜×60㎜×16㎜
詳細:名古屋モザイク
『Cranches(クランチェス)/平田タイル』
引用:平田タイル
いびつな形が可愛くて見た瞬間に「かわいー!」と言いたくなるようなタイルです。けれど甘すぎず、レトロな雰囲気が素敵です。
板チョコのように成形された生地を手割りし、ラフで自然な雰囲気を作り上げています。釉薬によりピースごとに色調の風合いが異なっており、釉薬と焼き物の味わいが魅力のタイルです。
品番:CRC-MIX
メーカー:平田タイル
サイズ:304㎜×304㎜×10㎜
詳細:平田タイル
『Puddle (パドル)/平田タイル』
引用:平田タイル
クラフト感溢れる雰囲気がとても愛らしいタイルです。
特殊な釉薬を塗ることにより炎の作用によって焼成時に縮まり、独特の模様を作り上げます。
インダストリアル調やアンティーク調のインテリアにだけではなく、カフェ風のお部屋にも合うタイルです。淡い色なので主張しすぎず、他のインテリアとも合わせやすいです。
品番:PUD-WN
メーカー:平田タイル
サイズ:227㎜×60㎜×11㎜
詳細:平田タイル
今回は陶磁器タイルの中の一つ『せっ器質タイル』についてみていきましたが、いかがでしたでしょうか?
タイルは色や形など種類も豊富で、提案するのにも迷ってしまいますよね。
それぞれの特徴を理解した上で使用用途に合わせたタイルを提案しましょう!
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