~この記事でわかること~
・ガスメーターは家庭内のガスの安全装置
・都市ガスかプロパンガスか、メーターで判断できる!
・現調時はガスメーターの号数・ガス種を必ずチェック
皆さん、自宅のガスメーターを見たことはありますか?
リノベーションだけでなく、住宅設計において重要な基盤となる設備工事。その中でも、給湯器やガスコンロ・床暖房など日本の住宅では「ガス」が幅広く活用されています。
給湯器など各ガス製品については設計時に仕様を細かく調べることも多いと思いますが、ガス管自体やガスメーターについての確認は大まかにしか把握できていない……という若手デザイナーの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、基本的なガスメーターの見方・リノベ時に注意したいガスメーターの確認事項をご紹介していきます!デザイナーとして必ず知っておきたい基本の知識ですので、ちょっと不安かも……という方は、ぜひ何度か読み直して頭に入れておくようにしましょう!
目次
ガスメーターとは?
ではまず、住宅におけるガスメーターの役割についてさらっと確認していきましょう!
ガスメーターは、その家庭で使用されているガス使用量を計測しています。それと同時に、あまり知られていませんがガス漏れや地震などを感知し自動でガスを遮断する機能も備えており、電気ブレーカーに相当するガスの安全装置としての役割も果たしています。
一般的な家庭で使われている都市ガスのガスメーターは「一般型マイコンメーター」と呼ばれるものが主流で、コンピュータで24時間ガスの使用状態を見守っており、下記のような異常を感知した際に自動でストップし、警報を表示します。
・メーターの大きさごとに定めた以上の多量のガスが流れた場合
・長時間、一定量のガスが所定の時間以上流れ続けた場合(家庭用と一部の業務用)
・震度5程度以上の地震を感知した場合(10号以上では、ガスの流れのある時のみ)
・流れるガスの圧力が所定の値を下回った場合(ガスの流れのある時のみ)
・警報器・不完全燃焼警報器が作動した場合(連動している場合のみ)
また、住宅ではガスメーターの主に以下のような場所に設置されています。
玄関脇や共用廊下のメーターボックス内
外に複数並列設置(部屋番号のシールが貼ってあります)
屋外・玄関付近の外壁
集合住宅(マンション)では、敷地外の配管はガス事業者/敷地内はマンションの所有物になります。また、敷地内の配管でも、ガスメーターまでが共用部分、ガスメーターから住戸内は専有部分になるのが一般的です(マンションの中にはガスメーター以降でもパイプシャフト内の配管は共用部分扱いとしている場合もあります)。
専有部分の配管の修理や交換の費用は、区分所有者が負担するのが一般的です。ガスメーターは通常10年ごと(一部は7年に一度)に取り替える必要がありますが、ガス事業者の所有物なので取り替え費用を請求されることはありません。
オール電化を採用している住宅等でない限りガスメーターが必ずどこかに設置されていますので、まずは自分の自宅のガスメーターの位置・記載内容を一度確認してみると良いかと思います。
「都市ガス」か「プロパンガス」かでガスメーターの種類も変わる?
さて皆さん、ガス種の違いは把握していますか?
大きく分けて家庭で使用されているガスは「都市ガス」と「プロパンガス(LPガス)」の2種類です。以下に、大まかな違いをまとめてみました。
「都市ガス」
・メタンを主成分とする天然ガスが主な原料
・地下に埋められたガス導管を通ってガスを供給
・空気よりも軽いため、ガス漏れ時は窓を開けることでガスを外に出す
「プロパンガス(LPガス)」
・プロパン・ブタンを主成分とする液化石油ガスが主な原料
・各家庭、物件にガスボンベを配置して供給
・空気よりも重く、ガス漏れ時は部屋の床面にガスがたまるため、ほうきなどで掃いて外に出す
上記からも分かるように根本から性質の異なるガスが原料となっているので、どちらのガスを使用しているかによって扱い方が全く変わってきます。そのため、リノベーション時には既存のガス種をしっかりと把握しておく必要があります。
それでは、どのようにガス種を見分ければ良いか確認方法をいくつかご紹介します。
①ガスメーターから見分ける
ガスメーターに、液晶表示が無い場合は都市ガス、液晶表示がある場合はプロパンガスです。
※メーカー・型式等によって形状が異なるものがあります。
②ガス漏れ警報機の位置で見分ける
ガス漏れ警報器が、天井や天井付近に設置されている場合は都市ガス、床付近に設置されている場合はプロパンガスです。
※都市ガスは空気よりも軽く、ガス漏れが起きた場合には天井付近にガスが溜まります。一方、プロパンガスは空気よりも重く、ガス漏れが起きた場合には床付近にガスが溜まります。 そのため、ガス漏れ警報器はそれぞれのガスの性質に合わせて適切な位置に設置されています。
③ガス機器のシールで見分ける
ガス機器には、都市ガスとプロパンガスで内容の異なるシールが貼られています。
都市ガスは「12A」「13A」「都市ガス用」、プロパンガスの場合は「LPG」「プロパンガス用」などと表記されています。
④ガスホースの色で見分ける
ガスホースの色が白色の場合は都市ガス、オレンジ色の場合はプロパンガスです。
※都市ガス用ガスホースの色は従来青色でしたが、現在は白色となっております。
※商品により色が異なる場合がございますのでご注意ください。
引用:西部ガス
多くの場合、上記のようにガスメーターの形状やシールからガス種の判断をすることができると思いますが、定かでない場合は必ず管理会社にも直接確認を行ってください。
ガスメーターの見方:都市ガス編
では、ここからは実際のガスメーターの見方をガス種別にご紹介していきます。
まずは、「都市ガス」のガスメーターの見方です。
先ほどもご紹介したように、都市ガスのメーターには液晶画面がありません。上部にある指示数でガスの使用量を確認することができます。
メーターの上部中央にあるのが警報用の赤ランプで、異常を感知した際に点滅します。左手にある黒いキャップが復帰ボタンキャップです。ガスが自動遮断した際の復帰に使用します。
ガスメーターの見方:プロパンガス編
次に、「プロパンガス」のガスメーターの見方です。
プロパンガスのメーターも、都市ガス同様上部の指示数でガス使用量を確認することができます。その下にある液晶画面は、ガスの供給状態を確認するためのものです。メーターの種類によって異なりますが、都市ガス同様警報用の赤ランプと復帰ボタンキャップも合わせて設置されています。
引用:土方プロパン
リノベーション時に液晶画面の内容確認が必要になることはあまりないかと思いますが、表示内容を確認したい際はこちらのサイトから詳細を確認できます。
▼土方プロパン:ガスメーターの見方・復帰方法
www.hijiprokind.com/gas-mater/
リノベ時に確認したいチェック項目4つ!
それでは最後に、リノベーション、特にマンションリノベの工事前に必ず確認したいガスメーターのチェック項目を4つにまとめました。
①ガス管及びガスメーターの位置の確認
まずは、現地調査時に必ずガス管とガスメーターの所在地確認を行いましょう。
マンションの場合は、お部屋のすぐ隣のメーターボックス内にその他の配管と共に設置されている場合が多いかと思いますので、メーターボックスを開けて目視で確認し、その後必ず全体+細部(シール部分や配管のつなぎ等)の写真を何枚か撮影しておきましょう!
引用:アットホーム
また、マンションによってはガス管が排水管同様スラブ内に埋設されている場合もありますので、メーターボックス内でガス管の室内飛び込み位置を目視確認(壁から?スラブコンクリートに埋まっている?)+竣工図で詳細の配管経路を把握するようにしましょう。
②ガス種の確認
メーターを発見したら、まずは先ほどの項目でご紹介した方法をもとに「都市ガス」か「プロパンガス」か、確認しましょう。(大規模なマンションでは都市ガスが採用されていることがほとんどですが、築年数や地域によって・また戸建て住宅の場合はプロパンガスが使用されていることもありますので、必ずチェックしてください!)
③メーターの号数の確認
次に、メーターの号数を確認しましょう。ガスメーター毎にガス使用の最大流入量が決まっており、都市ガスの場合、家庭用では2.5号/2号/6号/8号の4種類があります。その号数はメーターに貼ってあるシールまたはメーター下部に直接「NB 4」というような形で、アルファベット2桁と数字から確認することができます。(下図参照)
引用:ガス店
一般的に、4または6号のメーターが採用されていることが多く、メーターの号数によって設置できる給湯器の号数に制限が出るので、必ず事前に把握しておく必要があります。
2.5号メーター・・・10号までの給湯器
4号メーター・・・20号までの給湯器
6号メーター・・・24号までの給湯器
8号メーター・・・32号までの給湯器
※省エネ給湯器のエコジョーズはガスの使用量が少ないので、4号メーターでも24号給湯器が使用可能な場合もあります。
※プロパンガスの場合は号数の規格が異なるため、ガス会社に要確認のこと。
④ガスメーターの交換可否・注意事項を管理会社に問い合わせ
ここまでメーターの確認が終了したら、最後はメーターに関する注意事項を管理会社に問い合わせをしましょう。マンション全体の供給量を保つために住戸単位でのガスメーターの号数アップを許可していないマンションも多くありますので、お客様が給湯器のサイズアップをご検討の場合などは特に注意が必要です!
さて、今回はガスメーターの基本についてご紹介をしました。
初めてメーターを目にする際は、「何をどう見るの・・・?」と全く検討がつかず不安になりますが、一度理解してしまえば難しいことはなく、設備機器はリノベーション時に必要な情報の宝庫と言えます。まずはガス種の違いをしっかりと把握、そして既存のガスメーターをしっかりと読み取れるようになりましょう!
マンションリノベーションの場合は特に、既存の配管・配線状況によって設置できる設備の機能に大きく関わってきますので、今回の内容はしっかりと頭に入れておくようにしましょう!
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
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