この記事のポイント!
- 『アスベスト(石綿)』は中古マンションに使われている!
- マンションで使用されたアスベスト含有建材は成形板と吹付け材?
- まずはアスベスト含有建材があるか調査を!
- 疑わしい時は専門業者に成分調査依頼!
皆さん、『アスベスト(石綿)』と言う言葉を耳にしたことはありますよね?
特に我々が扱う中古マンションには大きく関係しています。
では、実際にアスベストがあるかどうか、どうやって調べたらいいか分かりますか?
「アスベスト」の概要について書いた過去記事を読んだ方は分かるかも知れませんが、今回はマンションリノベに関わる部分についてより具体的にみていきたいと思います。
目次
なぜ中古マンションに関係するの?
現在、法令によってアスベスト含有建材(含有量が重量の0.1%を超えるもの)の製造・使用が禁止されていて、新築マンションには使用されていません。
アスベスト建材が使われているのは、法令で禁止される以前に建てられた中古マンションと言うことです!!
マンションで使用されていたものは主に2種類?
アスベスト含有建材の種類は約3000種になると言われて、マンションでも様々な商品が使用されてきましたが、大きく分けると2種類です。
種類 | 詳細 | 飛散性=危険性 |
---|---|---|
成形板 | 工場でアスベストとセメントなど他の材料を混ぜ・形成した高密度の材料 | 低い |
吹付け材 | 施工現場で、アスベストを含む乾燥材と水分を混合し、吹付け工法で付着させた材料 | 高い |
アスベスト=石綿は飛散して吸入してしまうことで、中皮腫や肺がん等の健康被害につながります。
どんな流れになるの?
アスベストに関する流れを簡単にご説明します。
アスベスト含有建材の有無の調査・検査
(※無し:通常通りリノベーション)
⬇︎
有り
⬇︎
下記の2択
①撤去
通常の解体とは別に費用(手間)が発生。「吹付け材」か「成形板」かで撤去方法が異なる。
②囲い込み
アスベストが飛散・漏れないように、触れずに囲い込む。間取りなどに制約が出る。
どうやって判断するの?
さて皆さん、「対象住戸にアスベスト(石綿)含有資材が使われているか、どうやって確認するの?見た目で分かるの?」って疑問に思いませんか。
実は…
アスベストかどうかは図面や目視では判断できません!!
専門家による調査をしないと判別できないんです!!
※UB裏の壁パネルなど特定の印字がある場合は判断できる可能性もあります。
ただ、ある程度は推測することも可能です。
まずは推測をして、アスベストの可能性がある場合は専門家に調査を依頼することをオススメします!
推測方法①:マンションの竣工年代
建てられた年代が規制以前かどうかで、使用されている可能性を推測!
アスベストは1960年頃(昭和30・40年頃)から使われ始め、使用のピークは1970年代〜1990年代。
1975年(昭和50年)の規制に始まり、何段階かで順次規制されてきました。
そして、2006年(平成18年) 9月からアスベスト含有量が重量の0.1%を超えるものの製造・使用等が全面的に禁止されました。
⬇︎
『2006年』以前の竣工は疑って!
特に『1975年』以前の竣工は使用されていた可能性が高い!
推測方法②:竣工図
竣工図の仕上げ表・詳細図の記載で推測!
商品名で書かれている場合もあるので難しいですが、以下に挙げる単語もヒントにはなるので参考にしてみて下さい。
①下地・仕上げに『アスベスト / 石綿』の表記があるか
②天井(裏・仕上げ)の吹付け材に注意
・ 吹付けロックウール
・ひる石 / バーミキュライト吹付け
・パーライト吹付け
③天井・壁・床の下地や化粧用内装材としての成形板
・スレートボード
・フレキシブル板
・パルプセメント板
・ケイ酸カルシウム板
・ビニルタイル / シート
推測方法③:現地調査
竣工図記載の内容と相違がないか・吹付け材の怪しい場所はないか確認!
リフォーム等で撤去されていたり・上貼りされていたりすると、推測が難しくなります。
あくまでも参考ですが、アスベストの可能性が高い建材の写真をいくつかお見せします。
吹付けひる石(バーミキュライト)※表面に凹凸が見られる
吹付けロックウール
パーライト吹付け
その他は?
不動産取引において、アスベスト使用調査の有無は重要事項説明書記載事項、並びに伝達義務です。
重要事項説明書を確認できる場合は確認しましょう!
最終判断は専門業者に依頼するのが、1番!
上記3つに該当し疑わしい場合は、専門業者に検体を採取して成分調査をしてもらいましょう!
【成分調査の流れ】
平均的な成分分析費用は1検体あたり3万〜5万程度が相場で、事前調査や検体採取など依頼内容によってもプラスになる可能性があるので、事前に見積を取り依頼しましょう。
また、必要日数も確認必須です。
・分析速報:約1〜2週間
・調査報告書:約2週間〜1ヶ月
「アスベスト調査の補助金制度」がある場合もあるので、各地方公共団体の担当部局に確認してみて下さい!
なお、「石綿障害予防規則等の一部改正」に基づき、2022年4月1日以降は100万円以上の改修工事のアスベスト届出が義務化されます。
恐らくこれからも法令が改正されていく事項かと思いますので、情報収集もしっかりしていきましょう!
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