〜この記事でわかること〜
- マンションリノベでは「確認申請」が必須ではない場合が多い!
- 内装制限が適用除外になる条件は主に3つ!
- 広々LDKのキッチンは加熱調理機器に要注意
- 高層階の住戸はスプリンクラーで適用除外の可能性大
今回は『内装制限』の実践編として、マンションリノベに関わる内装制限についてみていきたいと思います。
ポイントとなる点や、マンションリノベで考えられる内装制限に関する事例を挙げていきます!
「内装制限については知っているけど、実際どうすればいいの?」「用語の意味はわかるけど、何をすればいいか説明できない、、」といった方にオススメの記事です。
過去記事はこちら
【デザイン基礎知識】マンションリノベに関わる『内装制限』について知りたい!〜基本編〜
目次
マンションリノベでも確認申請は必要?
マンションを新築する場合は、『確認申請』が必須になりますが、リノベーションの場合はどうかご存知ですか?
【新築】
内装制限を含め、建築基準法を遵守した建物であることを証明する必要があり、「確認申請」→「建築確認」→「建築確認済証」の発行が必須です。
【リノベーション】
実は現時点では、「確認申請」を必要としない場合がほとんどです。
しかし、安全を守るルールなので、該当する場合はしっかり遵守しましょう!
適用除外規定(緩和規定)とは、、?
さて、マンション(共同住宅)は特殊建築に該当しますが、全てのマンションが内装制限の対象と言う訳ではありません。
適用除外規定(緩和規定)があり、一定条件を満たしている場合は内装制限の適用除外になります。
マンションの場合の緩和規定の条件をいくつかご紹介致します。
※詳細は『建築基準法施行令 第129条』をご確認下さい。
- マンションである場合
200㎡以内毎に、準耐火構造の床、壁または規定の防火設備(防火戸等)で区画されている場合 - 一定規模以上の建物の場合
「床面積合計が100㎡以内毎に、準耐火構造の床、壁または規定の防火設備(防火戸等)で区画されている」且つ「耐火建築物・準耐火建築物で高さ31m以下(約10階相当)にある部分」の両方を満たしている場合 - スプリンクラーなどの自動式消火設備、及び建築基準法施行令126条の3の規定に適合した排煙設備を設けた部分
上記の適用除外とは逆に原則、内装制限があると考えられる条件もありますので、忘れずに!
①高さ31mを超える高層マンション
②住戸の面積が100㎡を超える場合
豆知識~用語説明編~
《耐火構造とは?》
一定の耐火性能(通常の火災が終了するまでの間、建築物の倒壊、および延焼を防止するために必要な性能)を備えた床や壁などの構造。
不燃材料を使用した主な該当構造方法
・鉄筋コンクリート造(RC造)
・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
・鉄骨造(S造)の両面を耐火被覆した構造
なお、性能の高い順から、耐火構造>準耐火構造>防火構造となります!
《耐火建築物とは?》
簡単に言うと…「耐火構造」+「防火設備」。
「耐火構造」で建てた、且つ「避難の安全を確保する防火区画」や「外壁の延焼の恐れのある開口部に防火設備」などが設置されている建物。
実例Q&A:第一問!「元々ガスコンロだったのをIHにした場合は、、?」
【問題】
キッチンを新設する際に、元々ガスコンロだったものをIHに変更した場合、内装制限に該当する?
【答え】
内装制限には該当しません!
この場合、他に火気を使用する機器が無ければ、キッチンは「火気使用室」とはみなされず、内装制限対象外になります。
※IHクッキングヒーター(電磁誘導加熱式調理機器)は火を使用しないと認められています。
とはいっても、高温の油を扱うのでIHにした場合でも防火材を使用することをオススメします!
また、IHのメーカーによって設置規定を設けているので、忘れずに確認して下さい。
第二問!:「オープンキッチンのLDKに間取りを変更しガスコンロを設置した場合、LDも内装制限の対象になる?」
引用元:LIXIL HP「キッチン シエラ 特徴」
【問題】
オープンキッチンのLDKに間取りを変更しガスコンロを設置した場合、LDも内装制限の対象になる?
【答え】
ガスコンロは火を使用するので、オープンになったLDK全体が内装制限の対象になります!
壁・天井は準不燃または不燃の材料を使用しましょう。
ただし、キッチンとダイニングの間に「準不燃または不燃材料で覆われた」且つ「50cm以上」の垂れ壁を設けた場合は、キッチンのみが内装制限の対象となり、LDはその対象にはなりません。
また、「消防法」では内装制限とは別に、コンロと壁等の距離について規定があるので確認が必要です。
過去の別記事でも書いているので、もう一度目を通しておきましょう。
第三問!:「マンション 13階の住戸のリノベーションで、リビングの天井仕上げに木材を使用しても大丈夫?」
引用元:WOODONE HP
【問題】
マンション 13階の住戸のリノベーションで、リビングの天井仕上げに木材を使用しても大丈夫?
【答え】
高さ31mを超える13階の場合は内装制限の対象になり、天井は準不燃材以上とする必要があります。
ただし、スプリンクラーなどの自動式消火設備、及び規定に適合した排煙設備が設けられている場合は、適用除外となり、内装制限を受けません。
壁の木材仕上げに関しては緩和措置があるので、下記を参考にしてみて下さい。
今回は「建築基準法」での内装制限をみてきましたが、もう一つの「消防法」は地域によって条例もあるので、条例に内装制限の規定がある場合は注意が必要なので、頭の片隅にでも入れておいて下さい。
また、マンションの場合は法規以外にも、管理規約でも内装制限が設けられる場合もあるので、管理規約にはしっかり目を通しておきましょう!
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