この記事のポイント!
- 内装制限=内装に燃え難い材料を使用するルール
- 趣旨が異なる2つの法律がある
- 全ての建物が対象ではない!
- 内装制限を受けるのは『壁と天井』
恐らく1度は耳にしたことがある『内装制限』。
建築士をお持ちの方や受験者はご周知の内容ですが、実はマンションのリノベーションにも関わってくることなんです。
そこで、「内装制限って新築の場合だけじゃないの!?」「そもそも内装制限とは?」という方の為に、『内装制限』の基礎についてお話ししていきたいと思います!
※『内装制限』は複雑でボリュームもあるので、マンションリノベーション に関わることをピックアップしています。
目次
そもそも内装制限って?
内装制限とは…
火災が発生した場合に、延焼を防ぎ、避難・救助する時間を稼ぐ為、
内装に燃え難い・燃え広がり難い材料=防火材を使用するというルールです!!
このルールは国の法律で定められていて、『建築基準法』『消防法』の2つの法律に内装制限があります。
2つの法律の違いは?
「なぜ2つの法律?」「内容は違うの?」と思われた方や勉強したけど忘れてしまった方もいらっしゃるかと思います。
2つの法律での内容制限は趣旨が異なります。
法律の種類 | 内装制限の目的 |
---|---|
建築基準法 | 火災初期の避難経路の確保 <制限内容> 火災の延焼を防ぐ材料の使用を規定 |
消防法 | 火災予防・初期消火・人命救助・本格消火 <内容> 火災を抑えられるように、排煙設備・消火設備の設置義務 |
一般的には内装制限=『建築基準法』の制限事項になります。
それでは、建築基準法での内装制限についてみていきましょう!
全ての建物が対象?
防炎に関する決まりなら全ての建物が対象でしょう?と思ってしましますが、内装制限は全ての建物が対象ではない!んです。
建物の用途・構造・階数・規模・地域などによって制限を受ける対象かが決まっています。
つまり、対象外の建物は内装制限を受けないことになります。
対象となる建築物の種類と必要な場所は『建築基準法 第35条の2』に記載されていて、大きく分けると以下4つになります。
【対象建築物】
- 一定条件を満たす特殊建築物(劇場類、ホテル、共同住宅類、百貨店類等の不特定多数の人が利用する建物)
- 用途を問わず一定規模以上の建築物
- 政令で定める窓その他の開口部の無い居室を有する建築物
- 火を使用する設備・機器を設けた室
引用元:一般社団法人 日本壁装協会
マンションは法規制上、共同住宅となり①の特殊建造物に該当しますね。
ただし、適用除外規定(緩和規定)があるので詳細について、マンション毎に確認をして下さい。
内装制限を受ける範囲って?
対象建築物に該当した場合に、内装制限を受ける場所は『壁・天井』 です。
これは、炎が上に燃え広がる性質がある為で、火災が起きた際に延焼のリスクが高い壁・天井は対象で、フローリングや畳などの床材は対象外になっています。
また、「居室では、床面から高さ1,2m以下の腰壁・巾木・廻縁・窓枠等などは内装制限の対象外」となり、木材も使用できます。
引用元:公益社団法人 日本住宅・木材技術センター
内装制限の内容って?
肝心の制限の内容ですが、内装材に難燃以上または準不燃以上の防火材を使用することです。
難燃材or準不燃材の制限の違いは、
対象建築物の種類,規模,用途や制限の箇所(居室or通路等)によって異なります。
※防火材:防火性能が高いものから、不燃>準不燃>難燃の3ランク
消防法の内装制限とは?
ここまで建築基準法での内装制限について話してきましたが、消防法での制限についても簡単に説明しておきます。
消防法の目的から言うと、住居では内装よりも排煙設備や消火設備(消火栓・スプリンクラーなど)の設置に重点が置かれています。
【消防設備設置の緩和条件の内装制限】
消火設備の設置基準に対して、免除条件として内装に関する制限が規定されています。
※消防法では、腰壁部分も含め壁の全てが制限対象になります。
シックハウス対策も?
今回は内装制限=防炎として話してきましたが、『シックハウス対策』についても建築基準法で内装制限を定めています。
住宅の居間・寝室も対象で、壁・床・天井の面的な箇所の内装材の制限を設けています。
制限はホルムアルデヒド発散建材材料の等級4種によって異なります。
引用元 :一般社団法人 日本壁装協会
現在、内装材は使用制限の無い『F☆☆☆☆ (フォースター)』取っている物が殆どのようです。
ちなみに、シックハウス対策=内装制限+24時間換気(機械換気設備の設置)の義務化となります。
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