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2020.07.25

建築施工管理技士が「施工図チェック」で失敗・クレーム・裁判沙汰を避けるための自己スキル診断 (上級編)

 

⊕施工の神様

建物の品質を左右する「施工図チェック」

施工図チェックの良し悪しは、建物の品質を大きく左右します。施工図は、設計図を実際に施工できるレベルにまで落とし込むものですが、どうすれば、その施工図を「品質の良い建物をつくるための施工図」にグレードアップさせることが出来るのか?が重要です。

そこで今回は施工図チェックの上級編として、普段から私が心掛けている方法を紹介します。

「設計図通り」では通用しない施工管理の現実

そもそも、品質の良い建物とは、どんな建物なのか?

  • 見た目がきれいな建物
  • スッキリとした納まりの建物
  • クレームの少ない建物

そのほかにも多々ありますが、私が最も重視しているのは「クレームの少ない建物」です。建物の引き渡し後、実際にお客さんが使用していく上で「トラブルばかり」では、施工者としてまだまだです。

瑕疵担保期間が基本的に2年、漏水などが10年ある中での1年点検、2年点検等を通してどのようなクレームがあるかを把握して、次回の建物に活かしていく、ということが非常に大切であると私自身は考えます。

設計者はズルい?施工者より設計図に問題があるケース

建物の引き渡し後のクレームについて、「施工者の問題より、設計図の問題のほうがいっぱいある」と感じている建築施工管理技士の方も多くいると思います。たしかに設計図の通りに施工していくのが施工者の使命です。

しかし、「設計図通りに施工しました」というのは、世の中では通用しません。ここで「世の中」と書いたのは「一般的に」ということではなく、「世の中の常識を判断する場所」において通用しないということです。世の中とは「裁判所」のことです。

建築施工管理技士であれば、誰でもご存知かもしれませんが、設計図通りに施工した結果、トラブルが起きて裁判沙汰になった場合、「一定以上の施工技術を持っている施工会社(ゼネコンであれば、ほぼ該当します)は、設計図に隠された瑕疵を見抜く技術を有しており、その技術を発揮し設計者への提言を行わなかった」ということで、裁判において責任を逃れることが出来ないという判例が多く示されています。

この話を聞くたび、私は正直「設計者って良いよな」と感じてしまいます。もしも、設計図屋の描いた設計図に納まり上の不具合があったとして、見抜けなかった施工者にも責任があるなんて、「設計者の優遇」「施工者への不当な責任転嫁」じゃないのかとさえ感じてしまいます。

だから、「設計図通りです」は通用しません。もしも、施工者として提案したのに、設計者が変更を認めてくれなかった場合は、ちゃんと「議事録」として残しておくことが非常に重要です。

設計図の見えない瑕疵を読み取るための3つのコツとは?

では、設計図の見えない瑕疵を読み取れと言われて、具体的にはどのような点に注意して設計図を読み解けばよいのでしょう?私なりの3つのポイントを情報共有します。

1. 設計図の見えない瑕疵、私はコレで失敗した

まずは、「色んな先人の失敗を積極的に取り組む」ということを私は考えています。具体的には、過去の漏水やひび割れの事例を見ながら、「今回の現場で同じような場所はないか?」を想像します。過去の不具合事例は、会社の中でまとめられて体系化され「社内基準」などに定められている会社もあるので、施工図をチェックする前に一度目を通しておくだけでも結果は異なってくると思います。

そして、最も効果があるのが、「誰か」のした失敗より「自分」のした失敗です。私もバルコニーにおいて誘発目地の位置が適切でなかったため、下階へ漏水してしまったことなど、ここでは書ききれないくらいの失敗を経験してきました。不具合が発覚したら後悔せざるを得ませんが、次回からは失敗の痛みを繰り返さないために、積極的に設計事務所などへ提案を実施しています。「前回、私はコレで失敗したのです!」と。

2. 施工者の勘

施工管理技士を何年かやっていると、施工図をチェックしていて直感的に「ん?何か引っ掛かるな」という感覚に陥ることってありませんか?きっと1つや2つあるはずです。ふと「?」を感じた所は、きっと何か重要ことが潜んでいると私は解釈しています。「施工者としての勘」を意外に大切にしているのです。

しかし、ここで「施工者の勘を養うべきだ」というよくある教えを説くつもりは毛頭ありません。なぜなら、私自身もどうやったら養えるか?なんて分かっていませんから(笑)。きっと、「嫌な経験」を繰り返していくうちに身についていくのかもしれません。

私がお伝えしたいことは、図面をチェックして「?」となった時は、そのまま流してしまわずに立ち止まって深く考えることが後々のトラブルを減らすことにつながるということです。それは私自身の経験としても多いです。

3. フェールセーフを考える

フェールセーフとは、たとえば飛行機の場合、「もしも、エンジンが止まったら?」「着陸時に車輪が出てこなかったら」など不測の事態に陥っても、代替の安全装置を2重3重に用意しておくという考え方です。一種の「過剰設備」と捉えることも出来ますが、本当にトラブルに見舞われたときに大惨事になるかどうかの境目になる重要な考え方です。

このフェールセーフの考え方を建築に取り入れると、「入った水をどのように安全に出すか?」を考えることが多い気がします。一定レベル以上の設計事務所さんと仕事をしている建築施工管理技士にとっては、いちばん議論になるポイントではないでしょうか?具体的に例をあげると、「シーリングはそのうち劣化して水が侵入する」ということを考慮した場合、侵入した水はどこを通って、どこから安全に排出させるのかを検討するということです。「2重に樋を設ける」「水抜き穴を設ける」などの対策を実施していくのです。そして実践の最初のステップは「水の流れを想像する」ことでしょう。

自分の技術・経験を総動員するのが「施工図チェック」

施工図のチェックというものは、本当に奥が深いです。最終的な最適解はないとも言えます。なので、今持っている技術・経験を総動員して詰め込むことが大切です。今回は上級編として「見えない瑕疵」を見抜くポイントについてお伝えしましたが、1つでも「なるほどな!」と感じていただけたら幸いです。

もちろん、施工図チェックには他にもまだまだポイントがあります。かくいう私も建築施工管理経験10年程度ですので、不足分は先輩方にも「現場の神様」でご執筆・投稿していただきたく思います。

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