リノベーション設計職の求人掲載件数を他職種と比較
リノベーション業界は、中古マンション市場の伸び、国の後押しもあり成長著しい業界です。それに伴いリノベーションに携わる求人ものびているのか?今回は、リノベーション設計職にフォーカスし求人状況を調査いたしました。
目次
他業種設計職の求人状況
平成29年における有効求人倍率は前年より0.14ポイント上昇し、1.50倍となっています。2020年2月現在、リノベーション設計職の求人掲載件数は新築設計含む5つの設計職の中で2番目に多い事がわかりました。以下4媒体における求人掲載件数をリノベーション設計、リフォーム設計、アパレル設計、高層ビル設計、新築設計の5つの職種で比較します。
- indeed.com
- 求人ボックス
- doda
- リクナビネクスト
リノベーション設計職の求人掲載件数は新築設計職より小さいですが、リフォーム設計の1.04倍、ビル設計の10倍、アパレル設計の20倍となり、今後増加する見込みです。今回、求人掲載件数ならびに、必要とされるスキルに関して他の設計職と比較しまとめました。
リフォーム設計の求人掲載件数と比較
2月の求人ボックスにおける求人掲載件数を比較したところリノベーション設計の求人掲載件数はリフォーム設計より5%多くなっていました。
リフォーム設計とは、築年数が経ち老朽化した内装を新築の状態に近づけるための改修のことを指します。
主な仕事内容は以下の通りです。
- 壁紙を貼り替える
- 床板を新しくする
- 浴室やシンクを新しいものに取り換える
部分的や表層的に改修工事を行い原状回復や修繕・営繕、不具合箇所への部分的な対処をするにあたり、「元に戻す」という観点で作成されるためリノベーション設計とは描く設計図面が異なります。
求人ボックスでの2月の求人掲載件数はリフォーム設計職が4,021件、リノベーション設計は4,216件でした。リノベーション設計職の求人掲載件数はリフォーム設計職の1.05倍であり若干多いことがわかります。
求人ボックス 2月23日調査
- リノベーション設計:4,216件
- リフォーム設計:4,021件
アパレル店舗設計の求人掲載件数と比較
2月のIndeed.comにおける求人掲載件数を比較すると、Indeed.comにおける2月のアパレル店舗設計求人掲載件数は692件、リノベーション設計職の同月求人掲載件数は3,167件。アパレル設計職は、ノベーション設計の求人件数の、約1/5の規模であることがわかります。
アパレル店舗設計は店舗の内装を設計したりデザインしたりする仕事です。アパレル店舗設計の求人では、アパレル店舗以外にもオフィスやホテルなどさまざまな施設の担当者となる人材を募集しています。
indeed.com 2月23日調査
- リノベーション設計 3167件
- アパレル 692件
高層ビル設計の求人掲載件数と比較
2月の求人ボックスにおける高層ビル求人掲載件数731件。リノベーション設計職の同月求人件数が2,401件であり、高層ビル設計職はリノベーション設計職の約1/3の規模であることがわかります。
高層ビル設計の仕事内容は、オフィスビルや商業ビル、高層ビルといった建築物を設計する事です。
ビル設計に特化している分、リノベーション設計の求人と比べ件数は少なくなるのでしょう。理由として、ビル建築は個人消費者ではなく法人が依頼主であることがほとんどで、一般的なリノベーションよりも案件数が少ないからだと考えられます。
求人ボックス 2月23日調査
- リノベーション設計:2,401件
- 高層ビル設計:731件
新築住宅設計の求人掲載件数と比較
求人ボックスにおける2月の求人掲載件数は、リノベーション設計職は新築住宅の設計職の約0.23倍でした。
新築住宅の設計は、一戸建てや分譲マンション、賃貸アパートといった物件を多く扱います。求人ボックスでは、新築住宅設計の求人件数は28,271件です。リノベーション設計の求人数は約6,400件なので、比較すると新築の方が4倍以上多いという結果でした。
もちろん、新築もリノベーションもどちらも手がける求人もあるため単純な切り分けはできませんが、新築設計の需要が根強く存在することがわかります。
求人ボックス 2月23日
- リノベーション設計:6,400
- 新築住宅設計:2万8,271
リノベーション求人で求められる能力
リノベーション設計職の求人は新築住宅の設計職の次に件数が多い事がわかりました。それではリノベーション設計職で求められるスキルとは何でしょうか?他の設計職にて求められるのとは異なるスキルは以下の通りです。
- 耐震性など中古建造物の診断力
- 既存設備を取り扱う能力
- 顧客のニーズやこだわりを図面に落とし込む力
- 営業力や現場でのコミュニケーション能力
新築建築の設計とは異なり築年数が経った建物が、工事に堪えうるつくりであるのか見極める力が必要です。
店舗設計職と異なりある一定の顧客のニーズを深く理解し図面作成ならびに工事にて実装する能力が求められます。現場との距離が近く、近隣への配慮や施工管理職、大工さんとのコミュニケーションを大事にできる人格も必要でしょう。
今後、リノベーション需要はますます増加し、それと共に求人掲載件数も増加する見込みです。
他業種の設計職にて力や実績を培った人で、リノベーション業界で活躍したい人もいるでしょう。リノベーション業界では、中古住宅の活用を促進する国のバックアップもあり、各社とも採用意欲が高まっています。
まずは技術面でのスキルに関して、既存建物を扱う仕事であることを認識しましょう。その上で法令や古い建造物の取扱いに関して学習するなど身に付けるべき能力を見極め挑戦してみてはいかがでしょうか。
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