⊕こちらの記事は『施工の神様』からの転載記事であり、許諾を得て掲載しております。
目次
材料置き場を軽視するな!
建設現場で働いている技術者の皆さんは、現場の「材料置き場」って、どのくらい意識していますか?
「そんなもの作業に使ったら無くなるし、不必要なら持って帰らせれば良いから深く考えてないよ」と、仮設計画図にこのくらいで良いかと適当に線を引いていませんか?
もしも、みなさんの中で共感される人がいらっしゃれば、私のようにいろいろと痛い目に遭う前に、ぜひこの失敗談をご一読いただきたいです。
私が経験した建築現場の材料搬入に関する2つの失敗例を紹介します。
職長の気持ちを汲んで自分の首を締めた失敗談
建築現場では、元請けが直接発注しない材料は、基本的には協力業者が発注します。
そして、材料の搬入も業者負担で行うのが通例です。
ここで、みなさんが直接材料を発注をしたことがあれば当然分かると思いますが、遠くから材料を運ぶと「運搬費」が掛かります。
そして運搬費は、トラックにパンパンに載せても、材料を1つだけポツンと載せていても「同じ料金」です。
だから、段取りの良い人になればなるほど「まとめて材料を動かす」ように心がけます。通常2回で済むところを1回の運搬で済ませば、数万円も違ってくるからです。
とはいえ、私はまとめて運搬して効率化するという考えに反対している訳ではありません。
むしろ、それで協力業者さんにメリットがあれば賛成です。だから、協力業者さんから申し出があってタイミングが合えば、私はまとめて運搬することに協力してきました。
しかし、ある日のことです。建物内から材料を搬出する作業をしているときに、午後の中途半端な時間帯でトラックが一杯になってしまったのです。
材料をおろしてピストンすれば、夕方の遅い時間になることが分かっていたので、協力業者の職長さんが「明日まとめて引き取りに来るから仮置きして良いか?」と聞いてきました。私は余り深く考えずに「明日引き取りに来るなら」とOKしてしまったのでした。
しかし、次の日の朝にトラブルが起きたのです。
なんと、仮置きしていた材料が次の日の朝の搬入車両の進路を塞いでいたのです。しかも、該当の協力業者さんは、前日に積んだ荷物を朝からおろして現場に向かうため、誰も来ていません。
「誰か動かして!」という搬入業者さんの声を聞くと、もう現場監督の私が動かすしかありません。
だって、「材料を仮置きしても良い」と言ったのは、他の誰でもない監督の私自身なのですからね。
結局、朝っぱらから、嫌な汗をかくハメになりましたよ。
別便には気を付けろ!認識の違いで招いた失敗
現場には毎日、様々な材料が入ってきます。
基本的に作業に使う材料はストックヤードを設けていない限りは「作業日に搬出して、建物内に取り込む」がモットーなはずです。
しかし、中には例外があります。私も過去にこれで痛い失敗を経験しています。
当時、私が担当していた現場は街中で、仮設のヤードがほとんど無い現場でした。
そして工程の都合上、コンクリート打設の翌日に、サッシの搬入というサイクル工程になっていました。
だから、私は「サッシの材料はコンクリート打設の翌日に届くもの」と勝手に思い込んでいたのです。
しかし、コンクリート打設の日に、警備員さんから電話が掛かってきました。
「スチール製のドアを積んだトラックが来ているけど、コンクリート打設の邪魔になっているから早くどうにかしてくれ」
「あれ?明日の間違いじゃないの?」
と思って協力業者さんに電話すると、
「アルミサッシは明日だけど、スチールは今日入れて、左官さんにくつづりの所を詰めて貰わないといけないだろう?だから、今日で間違いないよ。明日スチール入れたら、いつ荷揚げすれば良いの?」
と、「何言ってんだ、コイツ!」みたいな口調で言われたのです。
確かに、段取りを考えると協力業者さんの言う通りです。私は完全にモルタル詰めのことを忘れていたのでした。
それから、私はミキサー車の合間をぬって、運転手さんにブツブツ文句も言われながらも一緒にサッシを搬入して、コンクリートで忙しい左官さんに頭を下げてモルタル詰めをしてもらいました。
そして、次回からコンクリート打設の前日に、スチールサッシを搬入するように予定を組み直したことは言うまでもありません。
くれぐれも「材料置き場」を軽視しませんように!
~あわせて読みたい~
リノベーション設計者・監理者に限らず、社会人にとっての
ビジネスコミュニケーションの基本「報連相」について、
2週つづけて「相談」「連絡」と追いかけてお話していたホウレンソウシリーズ。