⊕施工の神様
熱中症計が30台送られてきた
私は今、中国地方の発電所建設工事に安全担当として関わっている。今1番の課題といえば、コロナ対策と熱中症対策だ。
安全担当としては、何をどう伝えるのが1番効果的なのか?を常に考えている。「こまめな休憩を取りましょう」とか「水分や塩分の補給をしましょう」とか、そんな誰でも思いつくようなことは言いたくない。
だが、今私がいる会社の熱中症対策で、これをしろ!とか、これを書かせろ!などの指示もあるので、それも無視はできない。結局は、一人一人が自分の体調を管理しなければならないのが基本で、皆にプロとして、大人としての自覚を持ってもらうのが最優先だと思う。
そんなある日、本社から熱中症計が30台送られてきた。
そもそも防水仕様じゃない!
これを配って熱中症対策に活かせ!とのことだが、ただはいよ!と渡すだけでは何の意味もない。せっかくなんだから、1番有効な使い方は何か?と考えながら、まずは2社のサブコンに10台ずつ渡し、それぞれの下請けの職長に持たせるようにした。
私も1台ぶら下げてるが、使ってるうちにどう使うのが効果的か、熱中症計の長所と短所が少しづつ分かってきた。そもそも、皆さんは熱中症計が”防水仕様じゃない”ことをご存知だろうか?
先日、現場で雨が降り出し、気温が高かったために湿度が急上昇して、熱中症になりやすい条件になってきたので表示に注目していたら、突然、熱中症計の警報アラームが鳴り、全ての表示が消えてしまった。
取り扱い説明書を見ても、”防水仕様ではない”とはどこにも書いていない。そこで電話でメーカーに問い合わせてみたところ、当然の如く「防水仕様じゃありません!」という返事が返ってきた・・・。
熱中症計は色々なメーカーから様々なモノが出てるが、屋外で使用するため、当然、防水仕様だと思っていた。しかし、実はそうではなかったようだ。他業者で使ってる人にも聞いてみたが、皆、当然防水でしょ?と思ってるようなので、気を付けて欲しい。
危険表示が出たら、作業時間は30分以内に
今私のいる会社では、熱中症計に表示される注意、厳重、警戒、危険の4段階表示に合わせて、作業時間および休憩時間が細かく決められている。
熱中症計は31度以上で危険と表示されるが、危険が表示されたら、作業時間は30分以内、合わせて身体を冷やせる場所での休憩を20分以上取るように!と決められている。6月の下旬から熱中症計を使用しているが、危険と表示されたのをすでに何回も見ている。
誰も決まりのまま休憩を取っている作業員はさすがにいないが、もし作業員から「決まりなので守ります!」としっかり休まれたら、仕事の予定は大幅に狂うだろう。本当にそんな事態になったらどうするのだろうか?
杓子定規に決められた規定に、決めた側が自ら首を絞める結果になりかねない。「どうすんですか?」と所長に聞いても、社員の誰に聞いても、曖昧な返事しか返ってこない・・・。
カタチだけの熱中症防止チェック表
ここの現場は熱中症防止チェック表なる用紙を、毎朝、作業員に書いてもらっている。真面目に記入したら30分は楽にかかるほどの分量だ。誰も真面目に記入する人などいない!と言っていい。
記入されている答えは、皆いつも同じだ。所長は、その内容までしっかりチェックしろ!と言うが、あまりに内容が大人げない。記入する項目をいくつか紹介しよう。
- 昨日の睡眠時間、今の体温、薬の服用の有無
- 朝食は何をどれ位食べたか、その塩分はどれ位か
- 朝に飲んだ水分量、体調は良好か
- 作業場の熱中症計の表示を時間別に記入
- 熱中症計の表示に基づいた、作業時間と休憩時間の記入
管理する側は、いざ何かあった時に、この通り書類に記入をしてもらってます!と言うつもりなのだろうが、どれ程の効果があるのか実に疑わしい。
朝食を記入する項目には、皆、判を押したように、ごはん1杯・味噌汁・目玉焼きなどと書かれている。食べたか?と聞かれれば、当然全員が食べた!と記載するだろう。体調はどうか?と聞かれれば、皆が良好!と答える。
書類だけでなんとか熱中症を防ごう!と思うから、こんな用紙を作るのだろう。現場を知らない人間が、色々な決まりを考えると結局こうなってしまう!
一人一人面と向かって、顔色や表情を見て、「調子悪いと思ったら適度に休めよ!」と声を掛けるとか、薬を飲んでる人には、新規の時に分かってるわけだから、「薬しっかり飲みましたか?」と聞けば、作業員の人も自分のことをしっかり覚えてくれてると思うだろう。
そんな気持ちに訴える言葉のほうが、よっぽど効果があると思う。なぜ、人間と人間の気持ちの交流を利用して熱中症を予防しようと考えないのだろうか?そんなの無理だ!と思ってる会社は、絶対に発展しない。
皆さんの現場では、どのような熱中症対策をされていますか?何か効果的な対策があれば、ぜひコメント欄で教えていただきたい。