みなさん、こんにちは。ようやく梅雨明けしましたね。
2020年の初夏は、新型コロナウィルスの第2波の警戒がされ、工事現場においても現場はもとより近隣の方への配慮も重ねて気を付けなければならず、より一層気疲れも多いことかと思います。
今回の失敗談は番外編として、今年の4月から実施されたコロナ禍の自粛期間で工事を担当した「匿名Aさん」が対応した近隣トラブルへの対応をお届けします。
目次
工事直前の苦情電話!?
「自粛期間でみんな家にいるのに工事するなんて考えられない!!」
管理組合への工事申請の承認が下り、近隣挨拶も終わり、いよいよ工事着工をはじめようとした矢先に、工事住戸の近隣にお住いの方から苦情電話をいただきました。
その場で電話対応できなかったAさんは同僚からの電話の知らせを聞いて、すぐに折り返しの電話をいれました。
(近隣挨拶に伺った際に不在だった方のようだし、工事のお知らせのチラシではご説明が足らなかったかな…)と思い連絡をすると、
「工事時間帯は、子供が学校のオンライン授業を受けているのに、チラシには騒音工事があると記載されている。工事するなんてありえない!工事を中止して!」との一点張りでお怒りの様子は変わらぬままでした。
対面でご説明。。?
新しいお部屋を心待ちにしているお客様のためにも、工事を中止するわけにはいかないし、近隣の方へもご理解いただきたい…Aさんは電話をいただいた近隣の方へ対面でご説明に伺うべく足を運びました。
直にお会いすると、怒号されることなく冷静に話を聞いてくださいましたが、説明しても近隣の方の気持ちに変わりはありませんでした。
このコロナ禍で、お子様のことを思う気持ちにも理解を示しながらも、お客様のご要望で請け負っているAさんが簡単に工事中止できる話ではないため、その場で結論を出さずに、今後の対応を検討するため社に持ち帰りました。
戸惑うAさんは、上司と相談して、お客様へ事情をお伝えして協力を仰ぐことにしました。
三者協議を実施
Aさんのお客様は、状況を理解してくださり、近隣の方との協議の提案についても快諾してくださいました。
また近隣の方もお客様を交えた対面について時間調整をしていただき、三者協議をしました。
協議での要点は以下の5点です。
- 工事申請が下りているため工事決行することは違法ではないが、コロナ禍での工事において、できる限り近隣の方へのご理解いただいた上で実施したい
- コロナ禍でのオンライン授業時間に対する配慮
- 工事中止になると、売買契約した物件や工事依頼した工務店への違約金が発生してしまう。
- 現在の住まいを引き払うことが決まっており、次の住まいがない
- 今後お住いになるお客様や近隣の方との関係値を引っ越される前から悪化させたくない
Aさんはお客様とともに切実に現状を説明し、近隣の方も冷静にお気持ちをお話され、お客様の事情にも理解を示してくださいました。
結果、お客様が騒音がひどい解体工事期間の1週間の間だけWEEKLYマンションを提供するという対応で工事着工の承諾いただくことができました。
対応のポイントは、主に3つ!
晴れて工事着工し、工事期間中はコロナ禍につき、共用玄関先での消毒液・出入りする職人のマスクの徹底を行いました。
その後は無事に工事が進み、お引渡しの日を迎えました。
Aさんが改めてお伺いすると、その近隣の方からリノベーションについて相談したいとのお言葉までいただいたとのこと。お客様との関係値も良好のようで、ほっと胸をなでおろしたようです。
お客様と近隣の方のご協力を得られた今回のAさんの一件でよかったことは以下3つのポイントがみられます。
- 近隣の方への苦情に対する迅速な対応(電話だけでなく対面で事情の詳細を伺えたこと)
- 早い段階でのお客様への情報共有(一緒に対応する姿勢)
- お客様との三者協議(実際に住む者同士で話し合うことで心情が双方に伝わりやすい)
さらにお客様がWEEKLYマンション費用(ホテル代)の支払いをして、近隣の方へ提案されたことが、近隣の方が譲歩してくださった一手となりました。
しかし、すべてのお客様が同様な対応ができるとは限らないため、私たち設計工事担当者としては、近隣の方とお客様への迅速な対応をして状況を整理することが肝になります。
近隣トラブルは、基本的に居住者双方で解決するもののため、規定外の工事に対するもの以外は、設計施工担当者がお客様の代理では対処しきれない事案が発生してしまいます。
これからお住いになるお客様のためにも、誠実に対応していきたいですね。