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「ゾーニングの始め方」とは?
いざ、リノベーションの設計をはじめようとしても何から手を動かし始めればいいのか?と漠然とした不安を持っている方も多いのでは?
中古マンションリノベーションで住宅設計をしていた編集部メンバーにとっても大きな困り事だったゾーニングの始め方。事例をもとにゾーニングの始め方を解説する連載企画も、今回で第5回目。今回は前回に引き続きご夫婦の事例を交えて、思考プロセスをご紹介いたします。
事例のご紹介
・家族構成:ご夫婦
・物件面積:66.96m²
・築年数:18年(リノベーション完工時)【お施主様の要望】
・末永く楽しめる空間
・書斎が欲しい
・視界や風が抜ける空間
・キレイに保ちたい
※詳しい情報はこちら(リノベる。サービスサイトより)
私が「ゾーニング」末永く楽しめる空間事例を徹底解説!を始める上で一番大切にしていたのは「軸」でした。この「軸」の傾向としては、お部屋全体の設計に大きく関わる要望や、複数の部屋への影響がある内容などがこれにあたることが多かったかと思います。
連載1回目になぜ「軸」に注目したかの記載がございます。
本案件のお施主様の要望では「末永く楽しめる空間」が大きな「軸」となったようです。
※連載一回目はこちら
思考の流れ
簡単に思考の流れをまとめますとこのような流れでした。
↓
・飽きの来ない空間
↓
・落ち着いた空間
・家具やインテリアも定期的に変えるかも
・いろいろな居場所をつくりたい
↓
・色や素材を落ち着いた色で統一しつつ、素材やトーンで変化を与える
・ベースでは差し色を入れない事で家具やインテリアをアレンジしやすい余白を与える
・「集中できる場所」、「エンジョイしたい場所」、「リラックスしたい場所」を明確に分けてスイッチしやすいようにゾーンは区切る
いつも、このように要望一つ一つを掘り下げていき、住まいづくりにリンクさせていっていました。もし、この掘り下げに不足情報があればお客様に遠慮なく聞いていくことが必要かと思います。
というのも、ここの認識が間違って進めてしまったことがありましたが、せっかく練ったプランを大きく描き直すことになり失敗をしてしまったことがあったのです。
不特定多数の方が利用する用途の建築とは異なり、あくまでも個人の空間で、個人の意見が判断基準となりますので、ご自身の持っている常識は一旦疑って良いかと思います。というよりも住宅はそれくらい自由なものですし、そこがリノベーションならではの醍醐味ですので楽しんでいたところでした。
「末永く楽しめる空間」以外の要望は、どのようにブレイクダウンしていったのか下記にまとめます。
リノベーション後の様子
リノベーション前の間取り
リノベーション後の間取り
こだわりのインテリアが詰まったLDK
奥には掃除のしやすさも考慮した壁付けタイプのキッチンも
LDK~WIC兼書斎への抜け
窓越しの照明もキーに
左:廊下の突き当りへはタイルを添える
右:廊下からラウンジに入るところにはアートを添える
洗面ボールが一体型の洗面台
イメージが湧いてきましたか?
当然ながらこれ以外にも考えるべきことや、微調整している部分は大いにあります。そもそも、お客様も十人十色で一つの始め方では対応しきれないと思います。
是非、自分なりの「ゾーニングの始め方」を作り上げてみてください。
筆者:千葉剛史 Takashi Chiba
大学建築学部を卒業後、オフィスデザインを手がける企業に新卒入社。その後、以前より強く関心のあったリノベーションを仕事にするべく「リノベる」へ。以来、数多くのお客さまの住まいづくりに携わる。現在はコーポレートデザイン本部ブランド戦略部に在籍し広報を勉強中。趣味は外遊び。友人と登山やキャンプを楽しむ。