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2022.12.06

漆喰・珪藻土の基礎知識、人気不動の自然素材を徹底解剖!

漆喰・珪藻土の基礎知識、人気不動の自然素材を徹底解剖!

~この記事でわかること~

  • 漆喰と珪藻土の基本構成=メインの原料+接着剤の役割を果たす材料+水
  • 漆喰と珪藻土は「メイン原材料」が異なる(硬化性の有無)
  • 漆喰:石灰石からできている
  • 珪藻土:藻(プランクトン)の化石からできている
  • 漆喰:石灰石からできている
  • 「F☆☆☆☆製」と「自然素材100%」の製品がある
  • どちらの素材も防火性◎
  • 耐久性・防カビまで期待するなら漆喰/コスト・調湿性重視なら珪藻土

「漆喰」「珪藻土」

壁仕上げの選択肢として良く耳にするこの2種類の塗り壁材ですが、皆さん、何が違うかしっかりと説明できますか?

自然派の素材で機能性も質感も良いけど、少し価格が高い仕上げ材だよな・・・・・?と、大まかにのみ把握している若手デザイナーも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、この人気不動の自然素材「漆喰」と「珪藻土」について詳しくご紹介していければと思います。

これを読めば、それぞれの特徴やメリット・デメリットをすぐに理解できます!
しっかりと読み込んでおきましょう!!

 

漆喰と珪藻土は原材料が違う

自然派の塗り壁材の代表格である「漆喰」「珪藻土」。まずは、根本的な違いについて簡単に理解しておきましょう!

漆喰と珪藻土、一番の違いは元となる原材料です。

どちらも粉末状に砕いたメインの原料+接着剤の役割を果たす材料+水を混ぜることで粘土質の塗り壁材として作用していますが、漆喰のメイン原材料である「消石灰(水酸化カルシウム)」は、空気中の二酸化炭素を吸収し石灰石(炭酸カルシウム)に戻る(硬化する)性質があります。

引用:Resta

一方、珪藻土のメイン原材料となるのは文字通り「珪藻」と呼ばれる「藻(プランクトン)の化石」です。珪藻の殻には細孔が多数存在する為、主に濾過助剤や耐火レンガとして長年使用されてきました。その多孔性が再び注目され、近年内装材として人気を博す様になりましたが、珪藻土自体は硬化する性質がないため、泥や化学繊維・漆喰などの硬化剤と混ぜることで壁材として使用することができます。

引用:Resta

上記の様に、メインの原材料そのものが固まるかどうかが2つの素材の大きな相違点となっています。

とはいえ、これだけではどちらを使用するのがベターか明確に判断しづらい・・・という部分もあるかと思いますので、次の章以降でそれぞれの素材の細かな特徴・機能性についてご紹介していきます!

「漆喰」を知ろう

それでは、この章では漆喰の基本情報を学んでいきましょう!

先ほども概要をお話しましたが、漆喰【しっくい】とは、水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とする塗り壁材です。
この主成分である水酸化カルシウム(消石灰)は、「石灰石」という岩石を1000度以上の高温で熱した後に冷ましてつくられたものです。その消石灰に水・海草などから採取した糊・ワラやスサなどの繊維を加えることで左官材として使用できる漆喰が出来上がります。

消石灰という言葉だけではどんな素材か想像しづらいかもしれませんが、原料のイメージとしては、ひと昔前まで校庭で体育の際に引かれる白いラインに使われていた粉と同成分で、少し重みのあるさらさらとした白い粉末です。
(建材として用いられている消石灰は、ラインに使用されているものとは品質が異なります)

引用:suumo

この「漆喰」を建築材料として用いる手法は、日本では飛鳥時代から本格的に取り入れられてきました。とても古典的な手法でありながら強度と機能性を併せ持っている漆喰は、今もなお時代を超えて受け継がれている伝統的な仕上げです。

「珪藻土」を知ろう

次に、こちらの章では珪藻土の基本情報を学んでいきます!

珪藻土は「珪藻」(藻の一種)の遺骸が海や湖の底に積み重なってできた粘土状の土です。
珪藻が増殖し、遺骸となって積み重なっていくことで、黄色、白、灰色のしま模様になるのが特徴です。採掘後に、高温の熱を加えることで不純物を除去して、細かく粉砕したものが珪藻土壁材の主原料として使われます。珪藻土は、漆喰よりは少し軽めの質感で、粉っぽく色味もばらつきがあります。耐火性がとても高いため、身近なところでは古くから七輪に使われています。


引用:suumo

建材としては、昔からその高い耐火性と保温性・吸湿性から耐火レンガや壁土としても使用されていましたが、近年、自然素材への関心が高まるとともに、壁仕上げへの利用用途が見直され注目されています。

ただ、最初にも説明した通り珪藻土のみでは固まらないため、必ず「硬化剤」の役割を果たす化学繊維や泥・石灰などと組み合わせて使用する必要があります。そのため、この「硬化剤」の質によって珪藻土の品質をコントロールすることになり、最近、DIY用として手軽に購入できる珪藻土は、硬化剤として化学繊維を使用している場合もあります。


引用:りっぷうや

また、2−3年ほど前に「珪藻土マットからアスベスト検出?」というニュースがあり、” 珪藻土って危険な素材なの・・・? ”と困惑した人も少なくなかったのではと思います。これは、珪藻土自体にアスベストが検出された訳ではなく、あくまで硬化剤としてアスベストを含む繊維を使用していたことが原因でした。
その手軽さから人気を博している珪藻土ですが、使用する際は必ず珪藻土以外の成分も合わせて確認をすることをおすすめします。

※日本では現在全面的にアスベストの使用が禁止されていますが、問題となった製品の工場が中国にあり中国の基準で許可されているレベルのアスベストが使用されていたものを輸入販売していたということです。
※また一部で、珪藻土を焼成した際に発生する「結晶質シリカ」には発がん性があり珪藻土は危険という記事も目にしますが、焼成した際に一部の粒子が結晶質シリカに変化するだけで、珪藻土全体が結晶質シリカでできている訳ではないので危険性はありません。
詳細は、日本建築仕上材工業会が出しているこちらの資料でわかりやすく説明していますので、一読してみてください!

珪藻土も漆喰同様、素材自体の歴史はとても古いですが、塗り壁材として本格的に使用され始めたのは15〜20年程前からと言われています。

珪藻土と漆喰のメリット・デメリット

さて、ここまで漆喰と珪藻土の特徴についてご紹介しましたので、ここからはそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう!

簡単に2つの特徴を表にまとめてみましたので、まずはこちらに目を通してみてください。

上記からも見て取れる様に、漆喰は機能的には抜群ですが、コスト面や施工性といった理由で、少しだけ手が出しづらい建材という位置付けと言えるでしょう。一方の珪藻土は、そんな漆喰の良さも持ちながら、コスト・施工性のバランスを重視した建材という印象です。

漆喰・珪藻土ともに現在、市場では主に「自然素材100%」「F☆☆☆☆」の製品が存在しています。「自然素材100%」は、使用されている材料が全て天然のもののため安心安全ですが、コストが高くなります。一方、「F☆☆☆☆」は、安全等級をクリアした化学物質を原料に使うことができるので、原料費を少し安く抑えることができます。

この「自然素材100%」製品か「F☆☆☆☆」製品かによって機能性・コストに影響が出てくるので、その点も交えながら、表内の各項目についてもう少し詳しくみていきましょう!

◎コストについて

  漆喰:資材自体の価格は珪藻土と同等
     施工が難しく手間が掛かるためコスト増
     自然素材100% or F☆☆☆☆での価格差あり

 珪藻土:資材自体の価格は漆喰と同等
     施工が比較的簡単で手間が掛からないためコスト少
     自然素材100% or F☆☆☆☆での価格差あり

◎耐久性について
  漆喰:50年から100年かけて岩のような硬い壁になる
     年月をかけてCO2と反応し硬化するため、耐久性強
     ( F☆☆☆☆製品の場合、耐久性が下がる可能性あり)

 珪藻土:水に弱く、衝撃によって一部が剥がれる可能性あり
     珪藻土自体は固まらない素材のため、硬化剤の強度によって変動大

◎防火性について
  漆喰:漆喰自体は、耐火性が高く不燃材認定
    (F☆☆☆☆製品の場合、 準不燃以下の商品も多くある)

 珪藻土:珪藻土自体は、耐火性が高く不燃材認定
    (F☆☆☆製品の場合、 準不燃以下の商品も多くある)

◎調湿性について
  漆喰:調湿も期待できるが、素材の硬化と共に効果減

 珪藻土:多孔性素材のため調湿効果大(漆喰のおよそ1.2倍)
     常時湿気の多い空間での使用は注意が必要
    (抗菌性はないため、カビが発生する可能性あり)

◎消臭性について
  漆喰:強アルカリ性のため匂いの元を吸収・分解
     生活臭やペット・洗濯物の匂い等の軽減効果大

 珪藻土:多孔性素材のため空気中の水分と匂い成分を吸収
     漆喰の様に抗菌作用はないため効果劣
    (F☆☆☆☆製品で使用される硬化剤に消臭効果ある場合あり)

◎抗菌・防カビについて
  漆喰:強アルカリ性の性質から、雑菌やカビを吸収・分解
     シックハウス症候群の対策としても効果期待できる
    (F☆☆☆☆製品の場合、性能が劣る商品も多くある)

 珪藻土:珪藻土自体には、雑菌等の吸収分解機能無
    (F☆☆☆☆製品で使用される硬化剤に防カビ効果ある場合あり)

◎清掃性について
  漆喰:基本的に滑らかでつるっとした質感
     表面が硬化するので、汚れにくく拭きやすい

 珪藻土:ざらつきがあり、多少の粉っぽさを感じる
     衝撃・水に強くないので、一部が剥がれる可能性あり
    (F☆☆☆☆製品の場合、表面が滑らかな商品もある)

◎外壁使用について
  漆喰:古くから城郭の壁として使用されていた
     年月をかけて硬化するので強度あり

 珪藻土:水に弱いため外壁への使用は避けた方が良い

◎施工性について
  漆喰:施工に技術を要する
     DIY用の商品(F☆☆☆☆多い)は取り扱いやすい

 珪藻土:全体的に施工がしやすい

 

さて、今回は「漆喰」と「珪藻土」の違いを徹底的にご紹介してまいりました!

いかがでしたでしょうか?

天然素材で風合いも似た塗り壁材として少し混同されがちではありますが、基本的な特徴やメリット・デメリットを改めてしっかりと理解することで、どこに使用するのが最適か判断しやすくなるかと思います。

どちらの素材も、機能性・風合い共にとても魅力的ですので、ご予算やご希望の機能性に合わせて、お客様にもどんどん提案してみてはいかがでしょうか?

そして次回は、実際の施工方法についてご紹介していきますのでお見逃しなく!

では、また次の記事でお会いしましょう!

 

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