~この記事でわかること~
- 磁器タイルは陶磁器タイルの一つ
- 磁器タイルは特に吸水性に優れている
- 表面は釉薬の有無で2種類
- 大切な役割がある目地
- 在庫の確認は必須
過去の記事でも内装材(仕上げ材)について沢山取り上げていますが、お客様にとっても設計・施工側にとっても内装材を決めるのは、楽しみでもあり悩む内容でもあるのではないでしょうか。
壁ではクロスや塗装・タイルなど、床ではフローリング・Pタイル・カーペット・タイルなど、マンションリノベでは予算や好み・機能に合わせて自由に選ぶことができます。
その中でもタイルは “熱や水に強く、汚れにくい” という特徴から水回りなどで人気の内装材です!
そんなタイル、実は材料(素地)によって種類があるのをご存じですか?
一般的にタイルと言われてイメージするのが “陶磁器タイル” と呼ばれるタイルです。陶磁器タイル以外では、石やガラス・ミラー素材のタイルもあります。
さらに、内装で使われている “陶磁器タイル” は材料(素地)や燃焼温度によって『 磁器タイル(磁器質タイル) 』『せっ器質タイル』『陶器質タイル』に大きく分けられます。
そこで今回は、その中の一つ『磁器タイル(磁器質タイル)』について深掘りしていきたいと思います。
目次
『磁器タイル(磁気質タイル)』ってそもそもどんなタイル?
磁器タイルは磁器質タイルとも呼ばれ、石英や長石・粘土などを1200~1350℃で焼いたタイルを指します。
<特徴>
◆緻密で硬い
◆叩くと金属のような澄んだ音がする。
◆吸水率が1%以下でほとんど水を吸わず吸水性に優れている。
◆耐凍害性・耐磨耗性に優れている。
住宅の内装だけでなく、歩道や商業施設の床、外装など様々な場所で使える万能タイルなんです!
引用:リノベる。
表面の仕上げにも種類がある?
磁器タイルはさらに、表面の仕様の違いで2種類に分かれます。
みなさん “釉薬(ゆうやく)” と言う言葉を聞いたことはありませんか?
“釉薬”は「うわぐすり」とも呼ばれ、タイルの表面に釉薬を塗るor塗らないかで2種類に分けられます。
【釉薬って何?】
釉薬とは・・・タイルを焼く前に塗るガラス質の塗料のことです。
釉薬の原料は・・・粘土・石灰・顔料など様々ですが、タイルそのものの素材とよく似ていて、塗布しても馴染みやすいのが特徴です。
では、釉薬を塗るor塗らないでどんな違いがあるのかみていきましょう!
① 『施釉タイル』=釉薬を塗ったタイル
釉薬を塗りコーティングしたタイルを『施釉タイル』と呼び、釉薬の色がタイルの色になります。
タイルに色・色ムラやツヤ・光沢をつけて、表情のバリエーションが豊富です。
釉薬には、ガラス釉、透明釉、貫入釉、マット釉、ブライト釉などたくさんの種類があり、同じ釉薬でも、フラット面に塗る場合と凹凸面に塗る場合で変わります。
塗り方や塗りの回数・組み合わせ方・塗る面の状態によって、デザインや表情・質感のバリエーションが豊富にあります。
また、汚れにくい・割れにくいといった機能をつける役割もあります。
引用:株式会社LIXIL
②『無釉タイル』=釉薬を塗らないタイル
表面を釉薬でコーティングしない『無釉タイル』はタイルの素材となる粘土そのものの色やマットな表情が魅力で、ナチュラルな仕上がりになるタイルです。
釉薬で色付けはしませんが、素地に顔料を練り込んで色付けをしているものもあります。
また、磨き上げることで素材を活かしたままツヤを出すこともできます。
引用:名古屋モザイク株式会社
目地って絶対必要?
タイルとタイルの間に黒や白の線が入っているのをよく見るかと思いますが、この継ぎ目(隙間)のことを『目地』と呼びます。
目地がない場合もありますが、恐らくみなさんが目にしているタイルの床や壁には目地があるのがほとんどではないでしょうか。
実際、タイルの種類によって目地無しが可能な商品もありますが、多くの商品は目地必須または推奨している場合が多いです。
【目地の役目】
・製品の寸法誤差や施工による誤差の調整
・下地材の動きからタイルを守る緩衝材
・接着の補助
・外部から水や埃の侵入を防ぐ
引用:名古屋モザイク株式会社
【目地の種類】
・セメント系目地材:一般的によく使用されている目地
・弾性目地材:適度なしなりがあり、振動に追従して目地割れ防止効果があるので、床など伸縮・反りなどが起こりやすい下地に適しています。
・エポキシ目地材:セメント系に比べて吸水性があり、汚れにも強く、耐酸性・耐アルカリ性にも優れているため、キッチンや水回りにおすすめです。
・カラー目地材
引用:LIXIL
【目地幅】
目地の幅は内装の場合、壁も床も3mm程度が一般的と言われています。
ただし、タイルの種類やデザイン・形状などやどう見せたいかによっても異なるかと思います。
商品ごとに目地の推奨幅があるので参考にしたり、分からない時などは現場側にも相談してみましょう!
選定する際の注意点は?
磁気質タイルの基礎知識と、釉薬の有無で2種類に分けられることをお話ししましたが、実際にタイルを選ぶ際の注意点がいくつかあるのでみていきましょう!
①表面の仕様
施釉タイルで表面がツルツルしているタイルは汚れが付きにくく掃除やメンテナンスがしやすいですが、床材に使用する場合は水等で滑りやすくなります。
一方の無釉タイルは、素地感が分かる凹凸やザラザラした表面のタイルが多く、汚れや埃が溜まりやすく掃除がしづらいですが、床材で水等がついても滑りにくくなっています。
使用場所や用途に合わせて適した表面の仕上げを選ぶようにしましょう!
②目地の有無や色
色や形だけでなく、タイルを施工する場合はタイルとタイルの間の目地があるかないかで表情が変わってきます。
商品によって目地が必須の場合もあるので、選定しているタイルに目地が必要かどうか、目地の種類や目地幅に制約があるか必ず確認しましょう!
また、目地を入れる場合は目地の色によっても印象が変わってくるので、タイルのデザインと選べる目地の色の組み合わせも考慮して決めましょう!
③割り付け
タイルは形やデザインによって、張り方(割り付け)にも種類がたくさんあります。
どこを基準にどのように貼っていくかで全然異なる場合や、目立つところに半端なタイルがあると見栄えも良くないので割り付けはとても重要です!
また、タイルの種類によっては1枚1枚色ムラがあったりします。
その場合は納品されたタイルをもとに使用するタイルを打ち合わせする事をオススメします。
割り付けが複雑だったり大きさが異なる場合など、割付図を作成するのも一つです。
④在庫の確認
忘れがちになるのですが、タイルは在庫が少ない場合も多く、選定段階で在庫の確認を必ずしましょう!
提案したのに在庫が無くて選び直すなんて、絶対に避けたいですよね。
特に輸入タイルは在庫が少ない可能性が高いので十分注意してください。
今回は陶磁器タイルの中の一つ『磁器タイル』についてみていきましたが、いかがでしたでしょうか?
タイルは色や形など種類も沢山あり、提案するのにも迷ってしまいますよね。
施工場所や用途・機能に注意し、いいなと思った商品は詳細や在庫を確認した上で提案するようにしましょう!
陶磁器タイル以外のタイルにも当てはまる項目もあるので、タイルを選ぶ際などに参考にしていただけたら嬉しいです!
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