~この記事でわかること~
- まずはモルタルを知ろう!
- モールテックスとは?
- サンワカンパニーの「モルタナ洗面台」
- 撥水性のある「モルタル天板」とは!?
- 最後に・・・
ここ数年、絶大な人気のモルタル仕上げ。
無骨なイメージのモルタルですが、インダストリアルなテイストにだけではなく、スタイリッシュ系やナチュラル系にも合わせる事ができ、テイスト問わず人気の素材です。
また最近では玄関などの床材や壁の仕上げ材としてだけではなく、家具や住設機器でもモルタル調を取り入れたりしています。
皆さんも、お客様から「モルタル調にしたい!」と言われた事も少なくはないはず。
その中でもキッチンや洗面台の様な水廻りをモルタルで造作したいというお客様も結構いらっしゃいます。
しかし、実はモルタル自体は水回りには向いていない為、なかなか提案し辛いのです。
そこで今回は「洗面台をモルタル調にしたい!」という要望があった場合の洗面台の提案パターンを3パターンご紹介します。
目次
まずはモルタルを知ろう!
まず「モルタル」とは一体何なのか見ていきましょう。
モルタルとはセメントに水と砂を混ぜた左官材です。
ちなみにモルタルに砂利を加えたものがコンクリートで、モルタルとコンクリートは全く別物なのです。
モルタルは昔から幅広く使われており、どこに使用されているかというと、
・土間や通路の仕上げ材
・外壁の仕上げ材
・タイルの接着剤
・レンガの目地部分
等、普段私達が目にする所で使われているのです。
ではなぜモルタルがこんなに人気なのでしょう。
モルタルの魅力は、独特の風合いと味わいにあります。
一つ一つ左官職人が手作業で仕上げており、コテによってできるムラの濃淡が面をのっぺりさせず奥深さと味わいを出してくれるのです。
この独特なムラはクロスや他の素材ではなかなか表現できません。
また、インダストリアルテイストやヴィンテージテイストだけではなく、ナチュラルテイストだったり、アーバンモダンなインテリアにも合うので、幅広い人たちから人気を得ています。観葉植物とも相性が良いですよね。
引用元:リノベる吉祥寺SR
ただ、モルタルには水廻りに使用するに当たって最大のデメリットがあります。
それはモルタル自身に撥水性がなく、クラックが入りやすい事。
たとえ撥水加工をしたとしても、クラックが入ってしまうとそこから水が入ってきてしまいます。
その為、洗面台やキッチンなどの水廻りには提案しにくいのが現状です。
もちろん、水廻りにモルタルを使う人もいます。もしお客様にモルタルを提案する場合はモルタルのデメリットもしっかりと説明した上で提案しましょう。
モールテックスとは?
では最初の話にあった「洗面台をモルタル調にしたい!」という要望を受けたときの洗面台をパターンかご紹介します。
まずは「モールテックス」です。
皆さんはモールテックスという素材をご存知ですか?
モールテックスはモルタルとほぼ同じ材料でできており、見た目もモルタルとよく似ています。
しかし、モールテックスはモルタルの材料であるセメントに特殊な樹脂を加えており、それによって水を通さなく、ひび割れしにくい材料となっているのです。
もちろん水回りだけではなく、壁などの内装材の仕上げ材として使用する事もでき、
機能性とデザイン性のどちらも兼ね備えている人気の材料なのです!
引用元:モールテックスHP
ではモールテックスのメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
・高い防水性
開発当初は貯水槽の防水材として使用されていた程、優れた防水性能を持っています。水廻りにも安心して使用できます。
・ひび割れしにくい
モルタルと異なり、収縮したり下地の動きに影響されてひび割れを起こすことはありません。
またモールテックスはコンクリートの5倍もの耐久性があります。
デメリット
・価格が高い
モールテックスは施工工程が複雑な上、特殊な素材の為モルタルと比べると材料費や施工費が高くなってしまいます。
場合によっては他の部分との費用のメリハリを付けて提案する必要があります。
施工事例
引用元:モールテックスHP
上記の写真はバスタブ周り、洗面台と床に施工した事例です。
引用元:モールテックスHP
上記の写真はキッチンカウンター、キッチン背面の壁に施工した事例です。
どちらの事例もモルタルの特徴であるムラの濃淡が出ていて味わいがありますよね。
またカラーバリエーションも豊富な為、同じモールテックスでも1枚目と2枚目では雰囲気もガラリと変わります。
その他詳しい内容はモールテックスのHPをご覧ください。
→モールテックスHP
モールテックスを施工する際は造作で作るので、仕上げはほぼモルタルと同じ質感や味わいを出したい。造作で洗面台を造りたい。というお客様にお勧めです。
サンワカンパニーの「モルタナ洗面台」
次にご紹介する商品は、サンワカンパニーより発売されている「モルタナ洗面台」です。
モルタル人気を受け、住設メーカーからもモルタル調の面材が発売されています。
しかし、モルタル調の洗面台はほぼありません。
その中でもサンワカンパニーの「モルタナ洗面台」は天板、面材ともにモルタル調の仕上げになっている洗面台なのです。
モルタル感を出すために表面はシート張りではなく磁器質のセラミックタイルを使用しています。
引用元:サンワカンパニーHP
ではモルタナ洗面台のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
・凝ったデザイン
磁気質のセラミックは高級感を醸し出し、また角の部分も留め加工を施している為、ぼってりせずスタイリッシュで都会的なデザインになっています。
・実際に商品を見る事ができる
こちらはモルタナ洗面台に限ったことではなく既製品全般のメリットとなります。
造作と違い既製品の場合は実際に商品を見る事ができるので、仕上がりもイメージしやすく、出来上がった後にイメージと違った。というイメージギャップが少ないです。
デメリット
・仕様が限られてしまう
既製品の為、サイズや色などの仕様が限られてしまいます。
このモルタナ洗面台の場合、収納を付けたい等の要望には別途造作で対応する必要が出てきてしまいます。
引用元:サンワカンパニーH P
こちらの写真は洗面台の色を白にし、置き型タイプに変更した写真です。
洗面台が変わるとまた雰囲気が変わりますよね。
その他詳しい内容はサンワカンパニーHPをご覧ください。
→サンワカンパニーHP
モルタナ洗面台に限らず既製品は、自由度はあまり高くありませんが、メーカーならではの安心感や品質の均一さは魅力的です。
モルタル調にしたいけれどメーカーの商品を設置したい。というお客様にお勧めです。
撥水性のある「モルタル天板」とは!?
次はモルタル天板をご紹介します。
「天板にモルタルが塗ってあるの?」と思ったあなた!このモルタル天板はそれだけではないのです。
toolboxから発売されているこの「モルタル天板」はランバー材の上にtoolboxが独自に開発したモルタルが塗装されており、ひび割れしにくく水も弾いてくれる材料なのです。
モルタルは職人さんが一つ一つ手で仕上げており、モルタルならではの風合いはそのままです!
引用元:toolbox HP
それではメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
・ひび割れしにくい
材料に特殊な樹脂を混ぜて粘着性を持たせ、モルタルの最大の弱点でもあるクラックの発生を抑えています。
・撥水加工を施している
撥水仕上げを施しているので水廻りでも使用可能です。
引用元:toolbox HP(PDF)
・加工が簡単ランバー材にモルタル塗装をしている天板なので、加工がしやすく、小さい丸穴なども開ける事ができます。
デメリット
・カウンターに厚みを出したい場合の小口の処理に困る
洗面台のカウンターに厚みを出したい場合、モルタル天板を組み合わせると写真の様に(写真は木材ですが)小口が見えてしまいます。
引用元:リノベる両国SR
施工事例
引用元:toolbox HP
実際に洗面台を設置した施工事例です。
その他詳しい内容はtoolboxのHPをご覧ください。
→toolbox HP
また天板に関しては、モルタル天板の他にもモルタル調のメラミン板などもあります。
「水回りの塗装仕上げは心配。だけど造作である程度自由に造りたい。」というお客様にお勧めです。
参考までにアイカ工業のHPをご覧ください。
最後に・・・
モルタル調の洗面台の提案パターンを何パターンかご紹介いたしましたが、いかがでしょうか。
モルタル調洗面台といっても色々なパターンがありますよね。
どのパターンもメリットもデメリットもあります。
まずはお客様の持っている要望や洗面台のイメージをきちんとヒアリングして内容のすり合わせをする事が重要です。
洗面台一つをとっても1日の家族の動線、予算やメンテナンス性などの考え方も重要なポイントとなります。
そして提案する際はメリットだけでなくデメリットもきちんと説明しましょう。
また、造作洗面台を作る事に慣れていない時は職人さんや先輩方と相談しながら納まりや細かい部分などを相談しながら設計していきましょう。色々なアイディアが生まれバリエーションが広がります。
造作と既製品をうまく組み合わせ、色々なバリエーションを考えながらお客様に提案してみてください!
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