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2021.09.30

リノベーション業界ってどうなの?データで見るリノベーション業界

リノベーション業界ってどうなの?データで見るリノベーション業界

今回の記事ではリノベーション業界に転職を検討している方向けに業界の現状と展望についてデータを元に皆さんにご説明します。

リノベーションに興味があるけれども、一時的な流行なのでは?など、業界の将来性について気になる方も多いかと思いますので、この記事を読んでリノベーション業界の理解を深めていただければと思います。

 

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リノベーションの転換期となった2016年

住宅のリノベーションの設計・施工の件数が増えていく背景には住宅ローンや中古物件の流通などの金融政策等があります。
2000年代に入り、少しずつリノベーションの事例が少しずつ増えてきた一方で、職人不足による建築コストの増大など様々な要因が重なり、首都圏の立地の良い新築マンションの価格高騰が進みました。
首都圏を中心に新築住宅が高騰している一方で、比較的リーズナブルな中古住宅の再流通、利活用を推進する動きが進み、新築一択から中古物件を購入し、リノベーションするという選択肢が増えてきました。
そして2016年、転換となった首都圏における中古マンションの成約件数が新築マンションの発売戸数を逆転するという史上初の出来事が発生しました。

 

図)首都圏における中古マンションの成約件数と新築マンションの発売戸数の比較

公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が発表した(1)「首都圏不動産流通市場の動向(2016年)」と株式会社不動産経済研究所が発表した(2)「首都圏マンション市場動向2016年(年間のまとめ)」より作成

○2016年、東日本レインズ、集計開始以降初めて首都圏における中古マンションの成約件数が新築マンションの発売戸数を逆転
www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00914/

そして、その逆転は一時的なものではなく継続しており、今年の3月時点でも首都圏の中古マンションの流通が活発になっています。
その背景としては、新築マンションを建てても需要に対して、供給過多であり面積あたりの販売価格も高騰してきているので、新築マンションよりも中古マンションを購入することに価値を感じている方が増えてきていると言えるでしょう。

○2021年3月、東日本レインズ、首都圏中古マンションの成約数、過去最大
www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202103_summary.pdf

 

戦後の新築神話が崩れた瞬間とも言われていますが、この時期からリノベーションへの注目度が高まってきました。

その要因の一つとして、住宅を購入する際に必須とも言えるのが、住宅ローンですが、かつてはリノベーションは中古住宅を購入する住宅ローンとリフォームをするためのリフォームローンを別々に組む必要がありました。

住宅ローンは長期での返済を前提としていますが、リフォームローンは一般的に少額で、短期で返済するという相反する特徴がありましたが、この2016年近年に住宅の購入費用とリフォームローンを一体として組むことができる制度ができました。

 

○2015年、住宅金融支援機構「フラット35(リフォーム一体型)」取り扱い開始
www.fudousan.or.jp/topics/1505/05_1.html

○2016年、住宅金融支援機構「フラット35リノベ」取り扱い開始
www.flat35.com/loan/reno/index.html

 

住宅業界の今後の動向

日本が新築主流だった背景として、戦後の住宅戸数が不足していた時期に持ち家を増やし、各世帯が新築住宅を建てやすくするための政策が展開され、経済活性化の鍵となっていました。
しかし現在ではすでに住宅戸数が必要以上に達し、量的に飽和状態になっています。

そういった中で、国としても新設住宅から既存住宅ストックの流通、利活用へと大きく方針を変更しています。

よく知られている空き家数は年々増加し、2018年時点で全国848万戸が空き家になっていますが、住宅が余っている状態で人口減少も進んでいるので今後としては新設住宅が減少していくという予測もあります。

○2020年以降新設住宅着工戸数予測
www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2021/cc/0608_1

 

一方で中古住宅の再流通を図る中で、物件それぞれの品質の担保が課題であり、築年数という指標だけに捉われない新たな指標が求められています。そのため、2017年に品質基準をきちんと守っている事業者に対して「安心R住宅」という標章を登録できるようにしました。
これで消費者の方が中古住宅を購入する際に事業者を選択しやすいよう環境を整備しています。

○2017年、国土交通省、「安心R住宅」制度の創設
www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000038.html

これまで住宅を購入しようとしている方々にとって新築住宅が選択の基本となっていましたが、中古住宅を選択することがスタンダードになるような環境が整いつつあります。

そういった国策としてのバックアップもあり、近年リフォーム・リノベーション業界の売上が伸びています。そのため、中古住宅のリノベーションができる設計者の人材募集も各社ニーズが増えているため新築住宅の設計からリノベーションの設計者にキャリアチェンジする動きも活発になっています。

これまでは、リフォーム市場というと一般的に工事費が安く、たくさんの案件をこなす必要がありましたが、近年は住宅ローン一体型の金融商品が出てきたことで工事費用も上がっていることもあり、売上向上に起因していると言えるでしょう。

○【マンションリフォーム売上ランキング2020】住友不動産、7連覇
www.reform-online.jp/news/reform-shop/18521.php

 

今後のリノベーション業界の展望

最後に、リノベーション業界の今後の展望について、国策として発表されている資料も用いてお伝えします。住宅が量的に飽和状態であ理、コロナ禍もあり「ていねいな暮らし」など、「暮らし」という分野の質を向上させていく動きが活発になっています。

そういった暮らしの質の向上を継続的に図るため、質既存住宅流通・利活用というテーマが国策として取り組まれていくということもあり、リノベーション設計者としての活躍が期待されています。

○2015年、経済産業省、経済産業省における住宅産業政策の動向
www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/jyutaku/jyutaku_vision/files/jutakusangyoseisakunodouko.pdf

 

○2021年、国土交通省、住生活基本法に既存住宅流通の活性化をwww.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001416995.pdf

以上、データで見るリノベーション業界というテーマで業界を取り巻く変化をお伝えしましたが、いかがでしょうか?

設計者のキャリアも新築住宅をつくるハウスメーカーなどが中心でしたが、リノベーションの設計者が時代としても求められているということもあり、一つのキャリアとしてご検討いただければと思います。

リノベーションから店舗設計や一棟丸ごとリノベーションなど、時代に求められているスキルを持った人材を排出していくことができる環境も多いのでキャリアイメージを深めていただければと思います。