~この記事でわかること~
- スプリンクラーが設置のされるマンションの条件
- 間取り変更の場合は移設・増設の可能性大
- 設置規定は『竣工当時の法令』に遵守
- 所轄消防署への届出は必須
- 工事の際は管理会社へ事前連絡を!
マンション専有部の防災設備って何を思い浮かべますか?恐らく「火災報知器 / 火災警報器」をイメージされた方が多いのではないでしょうか。
実際に、連動式・電池式、熱感知・煙感知など種類はあっても、「火災報知器 / 火災警報器」を設置しているマンションがほとんどかと思います。ただし、稀に『スプリンクラー』を設置している場合もあります。
そこで今回は、そのレア案件の『スプリンクラー』のあるマンションリノベーションを担当することになった時の為に、解説したいと思います!
目次
どんなマンションにスプリンクラーがあるの?
『スプリンクラー』とは、天井に取り付ける、消火用の自動散水装置のことです。スプリンクラーの設置は法令によって決められています。設置義務の条件に該当するマンションにはスプリンクラーがあるということになります。
条件は複雑なので目安となるポイントをいくつか挙げてみます!
- 延床面積が500㎡以上か
- 構造類型(二方向避難型、開放型など)
- 内装制限等を実施しているか
- 11階以上か(31m以上の建物か)
” 11階以上 “ の階層は消防車のはしごが届かない為、消火設備のスプリンクラーが必要になるんです。
その為、” 11階以上 ” の場合は、スプリンクラーが設置されている可能性が高くなります。ただし、条件によっては必ずしも設けられているとは限らないです。
詳しい設置基準は、消防法や下記も参照下さい。
- 消防庁告示第17号
- 総務省令第40号
リノベーションと関係ある?
まず、スプリンクラーについて簡単に説明すると…
「消火設備」の一種で、一般的には熱に反応して水が出るようになっています。天井裏に水を送る配管が通っていて、水が出るヘッドと呼ばれる部分が室内天井に見えてきます。
間取りが変わる場合、移設や増設が必要になる可能性あり!!
スプリンクラーは設置規定があり、居室の用途や広さ、ヘッドの離隔距離などが決められています。リノベーションによる間取り変更によって、既存のスプリンクラーが役割を果たさなかったら意味がないですよね。移設・増設=スプリンクラーの給水管やヘッドの工事が必要になります。スプリンクラーの工事は消防設備士と呼ばれる有資格者が行い、専門業者が工事をすることになります。
通常のリノベーション工事にプラスして必要になる工事で、費用も掛かってくるのは想像がつくかと思います。
移設や増設の決まりはある?
スプリンクラーの設置規定は、現在の法令ではなく、マンション竣工当時の法令の内容を遵守することが必要です!スプリンクラーはマンション全体のシステム・設備なので、マンション全体が同じ規定で防災設備を設ける必要があります。
竣工当時の法令確認方法は?
当時の法令の確認方法は、ネット検索や所轄消防署での閲覧などの方法があります。
所轄の消防署には消防法をはじめ所轄地域の特例などの資料も保管されているはずです。持ち出しNGですが、スプリンクラーの設置規定を確認したい旨を説明すれば、その場での閲覧はできるかと思います。相談にも乗ってくれますので、法令の確認と合わせて相談・質問するのも一つかと思います。
注意したいポイントは?
スプリンクラー工事をする場合に、知っておいた方が良いポイントがあるのでいくつかご紹介します。
1.消防への届出
スプリンクラーの移設や増設など工事内容によって、所轄消防署への工事届出や検査等が必要になる可能性があります。竣工当時の法令・特例内容によるので、届出等が必要な条件も合わせて事前に確認しておきましょう!
2.施工会社への早めの相談
スプリンクラー工事を行う専門業者はプロなので、プランの時点で早めに相談することをオススメします!依頼内容によっては消防への届出等も対応してくれる会社もあるので、見積作成前には確認しましょう。
3.管理会社・防災会社との連携
実際にスプリンクラーの移設・増設工事を行う時は、原則マンション全体の防災システムやスプリンクラーシステム・給水栓などを一時停止したり連携する必要があります。勝手に工事を行えば、エラーが発生したり大事になることも考えられます。
施工業者と日程を調整・確認をし、管理会社へ事前に連絡を入れ、必要な対応をお願いしなければいけません。その為にも、スプリンクラー工事をする際はどのようにするべきか管理会社に事前確認を取っておきましょう!