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2020.07.24

建築施工管理技士が「施工図チェック」で失敗・クレーム・裁判沙汰を避けるための自己スキル診断(初級編)

建築施工管理技士が「施工図チェック」で失敗・クレーム・裁判沙汰を避けるための自己スキル診断(初級編)

 

⊕施工の神様

 

「施工図チェック」ができない建築施工管理技士

建築施工管理技士の中には、施工図のチェックが「出来る」と思っている自信家の方もいると思います。しかし、そういう建築施工管理技士の施工図を見てみると、「まだまだだな」と思わせる部分も多々見受けられます。残念ですね。

そこで、施工図チェックに関する「自分のスキルレベル」を再確認できるよう、私なりに施工図チェック方法の要点をまとめてみました。初級・中級・上級編に分けて紹介していきます。施工図チェックが出来ると思っている建築施工管理技士の方にも、そうでない初級の建築施工管理技士の方にも、ご自分でおさらいしていただければと思います。

ぜひ、ご自分の施工図チェックのレベルをチェックしてみてください。もし、このスキルチェックで物足りないという建築施工管理技士の方がいれば、それはなかなかの腕前とお察しします。

※かくいう私も建築施工管理経験10年程度ですので、経験不足分は諸先輩方にもこの「施工の神様」でご執筆していただき、補足していただきたく思います。

建築の「施工図」と、土木の「設計図」の違いとは?

そもそも建築現場と違って、土木の現場には施工図が存在しません。土木では設計図だけで現場を進めるからです。建築施工管理技士の方で「えっ、本当に設計図だけで現場が出来るの?」と感じた人は、施工図について、まあまあ知識があるほうだと思います。

では建築の施工図は何のために必要かというと、「設計図に記載してあるさまざまな情報を、作業員さんが図面を見て施工できるレベルに集約するため」です。

建築畑で育つと、施工図がないのにはちょっと驚きますが、土木の現場は設計図だけで仕事ができてしまいます。なぜなら、土木の図面には「配筋の納まり」や「目地割り」「管底のレベルから土被りの高さ」まで全て記載してあるからです。つまり、土木の設計図は、建築の施工図レベル。構造体が単純なので、設計図レベルで表現できてしまうのです。

しかし、建築の図面はそうはいきません。平面図から始まって、立面図、断面図、矩計図、平面詳細図、展開図、建具図、部分詳細図、構造図と、さまざまな種類の設計図があるので、設計図の該当ページを見ながら施工を進めていくのは非現実的です。そこで建築現場では、施工図に設計図のさまざまな情報を集約するのです。

「施工図チェック」の基本的な3つのチェックポイント

施工図チェックの基本中の基本は、「設計図の情報を正しく施工図に記載すること」です。施工図はあくまでも設計図を施工できるレベルに落とし込んだ図面なので、設計図ベースが基本です。私が施工図をチェックする際に、まずチェックしている3つのポイントは、次の通りです。

  1. 全ての符号が間違っていないこと
  2. 全ての寸法が間違っていないこと
  3. 建物として整合性が取れていること

どれも当たり前かもしれませんが、とても重要です。きっと建築施工管理技士の皆さんは、施工図のチェック方法について誰かに教わったとき、同じことを言われたはずです。

しかし、正直なところ、符号や寸法のチェックは、「やらなければいけない」と頭で分かっていても、面倒臭いものです。しかも、符号や大きな寸法という基本的事項は、施工図を書く段階で間違っていないはず、という思い込みが誰でも少なからずはあるのです。

しかし、油断大敵! 施工図チェックを怠ると、大変な目に遭うことがあります。

「施工図チェック」を怠った場合の失敗事例

まずは符号についてですが、符号のチェックを怠って10個あるFG1の符号が、実は1つだけFG1Aであったため、コンクリート打設前の配筋検査で指摘され、型枠をバラして配筋し直したりする事例はいくらでもあります。

次に寸法ですが、私も、通り芯の寸法を危うく間違って施工しそうになったことがあります。少し複雑な建物であれば、通り芯(A)の隣に(A’)や(A2)などの通り芯が書かれていることがあります。寸法をおさえる位置がバラバラであり、それぞれの通り芯の距離を知るには、計算機が必要な設計図でした。そのせいか設計図の平面詳細図の通り芯の寸法が間違っていたのです。そして、その寸法の数字を「正」であると勘違いして図面をチェックしていきました。幸いに、施工図のチェックの最後のほうで建物の辻褄が合わなくなったため、間違いに気づいて難を逃れたこともあります。

3つ目に、建物としての整合性が取れているか、についてですが、意匠図と構造図の不整合という現状で、皆さんの目に触れることが多いのではないでしょうか?

例えば、

  1. 意匠図にはない柱が構造図に記載されていてサッシが納まらない
  2. 構造図の梁が思いっきりサッシと干渉する
  3. MBの下が大梁で縦管を全く通すスペースがない

などは、私自身が実際に体験した不整合のほんの一部です。なので、当たり前と思えることをしっかりとチェックすることが、施工図チェックの基本です。

施工図チェックは、お客様のために!

私の周りの建築施工管理技士の方々にも、上記3つのポイントをチェック出来るようになっただけで、「施工図のチェックが出来る」と考えている人は意外と多いです。たしかに、施工図の基本的なチェックは出来ているので、それなりの建物が出来るでしょう。しかし、われわれ建築施工管理技士が手掛けた建物は、われわれが使うわけではありません。発注してくれたお客さんが使用するので、お客さんに「良い建物」であると感じてもらうために施工図をチェックするという視点が不可欠です。

具体的には「施工しやすく見た目の良い建物を造る」「竣工後にトラブルのない建物を造る」ということです。この2点は、施工が困難な納まりを放っておくことによる品質の低下、およびお客さんが将来抱えるだろうトラブルを未然に防ぐことになります。

施工管理10年以上でも「施工図チェック」は奥が深い

施工図のチェックのレベルは、上記3点を「意識する」だけで、劇的に向上します。しかし、いきなり施工図チェックが高いレベルで出来るようになるわけではありません。段階を踏んでレベルアップすることが必要であると感じています。

施工図チェックの経験が少ない人は、上記3つのポイントを重点的にチェックしていくと効果的であり、これらが出来るようになったら、そこで満足せずに次のステップに進んでいく、というスタンスで良いと思います。施工図のチェックは、建築施工管理を10年以上やっていても、まだまだ、本当に奥が深いと思います。

 

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