⊕施工の神様
現場監督の報連相ミス
現場監督たるもの、資材屋さんの手配は朝飯前である。
しかし「報連相」を怠ったために、私は何度も資材屋さんとのやりとりで失敗したことがある。
その失敗談を2つ紹介するので、いかに報告、連絡、相談が大切なのかご参考いただきたい。
ちょっとした手抜きや気の緩みが、面倒な事件に発展するのが建設現場である。
内装工事で使う強化石膏ボード60枚
ある工場建設の内装工事を進めている時のこと。
急遽、2階部分に仕様変更があって、21ミリ厚の強化石膏ボード(1枚約18kg)が必要になった。
強化石膏ボードは60枚ほどだったので、わざわざクレーンで荷揚げしなくても、資材屋さんと一緒に担ぎ上げればよいと私は判断した。
そこで私は「2階の仕様変更に一番近い、1階の階段の下に配達してほしい」と資材屋さんに連絡。
口頭ではあったが「X10とX11と書かれている鉄骨柱の間にある階段の下」と伝えた。
強化石膏ボードがない!
搬入当日、他の業務で忙しかった私は、資材屋さんが来る時間に遅れて、指定の場所へ向かった。
しかし、指定した場所に石膏ボードがない!到着が遅れているのかと思い、しばらく待ったが来ない!
そこで資材屋さんに連絡したところ、すでに配達したとの返事……。
私は「指定した場所から連絡しているが、目の前に無い」と伝えながら石膏ボードを探していると、もう一か所の階段の下に注文したボードが置かれているのを発見した。
すでに2階の現場では、職人さん達が強化ボード待ちの状態なので、
「間違っているところに置いている!」
「いや、階段の下とは聞いたが、どこだとは聞いていない!」
そんな言った、言わないの無駄な時間もない。
結局、私は職人さん達にお願いして、一緒に60枚の強化石膏ボードを2階に担ぎあげ上げた。
ちゃんと置き場の書かれた図面をFAXしておけば良かったと後悔した現場だった。
JIS材と一般材
次の失敗談は、公共施設の工事現場でのこと。
私は天井下地材を資材屋さんに注文したが、注文を入れてからしばらくして、JIS材で注文したのかどうか不安になった。
ご存知の方も多いと思うが、内装業で使用する間仕切り下地材や天井下地材では、「JIS物」と「一般物」というのが存在し、主に公共事業の建設では、JIS規格の下地材を使用する。
しかし、私は資材屋さんに再確認をしなかった。着工前に下地の図面と仕様書を見てもらっていたし、届け先も、いかにも公共施設名なので、「当然JIS物だと解っているだろう」と判断したからだ。
ところが、搬入当日、資材屋さんが現場に持ってきたのは「一般材」だった!
一瞬、このまま黙って一般材を使ってしまおうかと思ったが、写真を撮って行政機関に提出しなければならないし、もしバレたら面倒なことになりそうだと辛うじて思い留まった……。
電話一本を怠って、会社の金銭的損失
結局、一般材は、私の会社の倉庫にいれてもらい、翌日、JIS材を入れてもらうことにした。私のミスなので一般材はそのまま買い取るしかなかった。
しかし、会社の金銭的な損失もさることながら、一番身にこたえたのは、私の失敗を一生懸命にフォローしてくれた上司や先輩方の存在だった。大変申し訳ない、大変有り難いという気持ちで一杯になった事を今でも覚えている。
ミスは上司や部下に関係なく、いつでも誰にでも起こる。起こりうるミスを長期化、重大化させないためにも、迅速な報連相を常に頭において仕事を進めていく事が大切だ。