〜この記事からわかること〜
- 通路幅は「通る対象の寸法」と「動作寸法」が決めて!
- 廊下の通路幅は850mm以上が理想
- 計画には家具や家電のサイズ・搬入経路も含めて検討が必要
「それ、有効寸法はとれてる?」と聞かれたことはありますか?有効寸法?どこの寸法?だっけ??となって、このページにたどり着いたアナタ、こんにちは!そうでない方、おかえりなさい。
【有効寸法=内法寸法】のことですね。この質問の場合は、概して「動作に必要最低限の内法寸法がとれてる?」というこす。駆け出しの新人設計者のラフプランでは、有効寸法が狭く、動線がきつそうな計画をしていることがあります。設備や家具の配置ばかりに気を取られ、生活動作を忘れがちになってしまうことも多いのでは?
そこで今回は暮らしの動線の基本である廊下の通路幅をみていきましょう!
目次
通路幅はどうやって決めるの?
必要な通路幅は、何をもとに考えられてると思いますか?
その通路を使う人ないし通るモノや動物が通れる寸法?
それだけではありません。そこで何をするのかどこの通路なのかによって、寸法は変わってきます。
通路寸法を決める際の2つの視点を押さえましょう!
<POINT of VIEW>
- 通る対象の寸法(最小寸法をふまえる)
- その対象の動作寸法(通路形状・通路の用途による)
この2つが念頭に入っていれば、あとは最小寸法をもとに、住まい手となるお施主様に合わせて調整します。
<標準的な日本人の最小寸法>
標準的な人の横幅寸法:450mm
最小の通路寸法:600mm(1人用ですれ違いができない)
※居住者が体格や恰幅のいい方など、横幅寸法が標準を超える場合は、その分、最小寸法を大きくみていきましょう。
廊下の通路幅はどのくらい?
では、廊下での有効寸法はどれくらいあるといいでしょう?最小寸法の600mmくらい?と答えた方は、前述の②を読み返してみてください。
廊下って、何も持たずに腕を下げて通るだけですか?買い物袋下げてたり、お夜食運んだり、家族や来客者とすれ違ったり…色んな動作がありますよね。生活動作を踏まえた有効寸法の目安は、以下を参考にしてみてください。
<廊下の通路幅目安> ※両側が壁の場合
通路幅 | 人数(大人) | 可能動作 |
---|---|---|
600mm以上 | 1人 | 通るだけ(肘を真横にあげられない) |
750mm以上 | 1人 | モノをもって通れる |
850mm以上 | 1人 | 標準的な介助式車いすが通れる |
900mm以上 | 2人 | すれ違う時に1人は横向きになれば通れる |
1200mm以上 | 2人 | 2人とも並んで正面を向いて通れる |
日本の超高齢化社会に備えて、バリアフリーを考慮しておくだけでなく、体調不良やケガをした時も少しでも楽に過ごせることも快適さのひとつです。廊下の基本有効寸法として、850mm以上確保するように癖づけることをおすすめします。
うっかりしがちな搬入寸法は、測りましたか?
生活動作寸法も考慮してプランがまとまった!と喜びも束の間。うっかり見落としがちなのが、家具や家電の大きさとその搬入動作です。
特に注意が必要なのは解体組み立てができない、ソファ・洗濯機・冷蔵庫。
設計中に、それぞれの搬入経路幅と出入口の有効寸法を確認することはもちろん、設計当初に持ち込む家具家電が決まっているかをお施主様に聞いておくと、うっかりミスを事前に防げます。
<持込 OR 購入?>
- 持込予定の場合:設計当初に家具・家電の把握し、設計
- 購入予定の場合:搬入経路にゆとりがない際は、設置サイズの制限があることを伝達し、お施主様の承認をいただく
お施主様の了解を得て狭い通路幅にし、搬入経路の忠告をしていても、うっかり「大きな家具買っちゃった!」なんてお施主様もいらっしゃいます…暮し始めにそんな悲しいことのないように、有効寸法をおさえた作図の練習をしましょう。
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