~この記事でわかること~
- 京都市京セラ美術館とは?
- 京都市京セラ美術館にはどうやっていくの?
- 現地に到着
- エントランスから階段を上がった中央ホールへ、、、。
- 昔使っていたエントランスは?
- 外から室内になった光の広間
- 北側の新設展示室へ
皆さん、こんにちは!
今年3月にリニューアルオープンした京都市京セラ美術館を見学してきました。
計画に携わった事業企画推進室企画推進ディレクターの前田尚武さんがガイドをしてくださり、運営・使い勝手を想定した計画時の工夫などの説明をいただきながら施設内を回りました。
目次
京都市京セラ美術館とは?
国内に現存する最古の公立美術館建築で、1933年に開館しました。帝冠様式(鉄筋コンクリート造の洋式建築に和風の銅板屋根がのった昭和初期の建築様式)を代表する建物で、戦後は一時的に進駐軍により接収され生活の場としても使われていた過去もあるようです。リニューアルオープンに伴い、大きく動線が刷新されています。前田さんからお伺いした計画のポイントとして展覧会以外にもレセプションパーティー、プレス発表会等のイベントにも使われるように計画をしているようです。
京都市京セラ美術館にはどうやっていくの?
JRの京都駅からタクシーで20分弱の場所で平安神宮の南側に位置しています。
近くにはロームシアター京都(京都会館)や京都国立近代美術館もあり、周辺の建物もあわせて建築巡りをすると1日かかるような立地です。
現地に到着
リニューアル時に掘られた前面のすり鉢状の広場から地下の正面入口に向かいます。当初の外観はほぼそのまま保存されているのに対し、地下1階部分は湾曲したガラス・リボンというデザイン。銅板屋根+煉瓦タイルの当時の外観に新たにつくられた開放的な外観が歴史の積層を感じさせます。
前田さん曰くエントランス計画のポイントはたくさん増えてくるサインと傘立ての配慮とのこと。サインは備品で数が調整できるとともに、簡単に印刷物をはさむことができるように規格化されたサイズで作られています。
エントランスから階段を上がった中央ホールへ、、、。
各展示室へアクセスするハブとなるホールです。バルコニー、エレベーター、螺旋階段を増設しています。
壁面裏に設備ルートも確保しているとのこと。
リニューアル前はここに仮設のミュージアムショップもあったようですが、現在は入口左手に常設のミュージアムショップができています。
一目ではどこが新しくどこが既存利用かわからないデザインであり、新しいものが古いものにすんなり馴染んでいるエレガントな印象。
展示以外にもイベント利用ができるように配慮されており、配線ピットや吊りバトン等が設置されています。
イベントの準備のため、企画展の時期よりも休館日の方がスタッフは忙しいとのこと。
昔使っていたエントランスは?
階段のつくりをはじめとても豪華な空間となっており、仕上げや照明等当時のデザインが保存されています。
当時は照明器具が空間の豪華さを作るためのデザインのポイントだったようです。
人通りが少ないこともありますが、イベント時にはここも利用するそうです。
外から室内になった光の広間
リニューアル前は室外機置場として日の目を浴びることのなかった場所にガラス屋根がかけられ、室内化されています。展示室に入る前の陽のあたる空間。
元々外壁だった壁は当時のデザインのまま保存、補修されています。
北側の新設展示室へ
新築と既存建物の間の部分です。床があがっているので、既存の扉が床下に埋まっている収まりとなっています。扉下の床は外せるようになっており、扉を閉めることも可能とのこと。
新築部の外壁(GRC。ガラス繊維補強コンクリート)は既存の煉瓦タイル目地と同じ幅で目地が作られています。斜めに傾斜をつけることで、既存のタイルの色むらとは似ているようで違う雰囲気です。
まとめ
リニューアルで新たに手を入れた部分と既存のデザインが、対立でも模倣でもなく、古いものに馴染んでおり、機能的な改修もあわせて現代のニーズにあわせてアップデートされています。リノベ―ション・改修は潜在的価値を掘り起こすことであることを改めて認識しました。
今回は時間の都合で展示を見ることができませんでしたが、大規模な企画展が4つもあり、後ろ髪を引かれる思いで現地を後にしました。
是非、京都旅行の際は時間を長めにとって、周辺の名建築も合わせて見に行ってみてください。