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2021.11.19

【リノベを科学する】リノベーションって、どんなことにコストがかかるの?見積りのプロ「日本建築積算協会」理事 橋本真一さんに聞いてみた

【リノベを科学する】リノベーションって、どんなことにコストがかかるの?見積りのプロ「日本建築積算協会」理事 橋本真一さんに聞いてみた

リノベる株式会社による連載企画「リノベを科学する」

中古住宅やリノベーションに対する不明や不安、素朴な疑問をデータを用いて「見える化する」=「科学する」連載企画です。あくまでもリノベーション事業者へオーダーするユーザーへの記事ですが、リノベーションの仕事を行う皆様にとっても知っておきたい情報です。

是非、チェックしてみてください!

(以下、リノベる公式noteより)


連載企画「リノベを科学する」。第11回のゲストは、公益社団法人日本建築積算協会理事であり、芝浦工業大学と日本工業大学の非常勤講師でもある橋本 真一さん。実務として建築の企画、設計、積算やコストマネジメント等の支援をはじめ、建築・不動産に関する調査研究、分析、評価を行っています。また、利用とコストの視点から、建物の長寿命化に対しても情報発信をされています。今回はリノベーションを検討される方なら気になるリノベーションのコストを、見積りを通じて見てみることにしましょう。どんな項目があり、どんな内容が含まれているのかなど、ビギナー研究員・田形と、中堅研究員・千葉がお話を伺いました!
(取材:リノベる。スタッフ/田形研究員と千葉研究員、文:中野広夢)

田形:リノベーションにおける不安や疑問点を、専門家の方に直接うかがう連載「リノベを科学する」。記念すべき第10回目は「リノベーションのコスト」がテーマです!弊社では、リノベーション費用の平均がだいたい税込みで1200万円(ワンストップリノベーションサービス「リノベる。」の物件のみの数値)ぐらいなのですが、「そんなにかかるの!?」と驚かれることが多いんですよね。何を隠そう、私も最初はそう思いました!

千葉:はい。数十万円でできるリフォームのイメージで比較しちゃうと、そうですよね。一般の方からすると、何をするのかもわからないでしょうから、何にお金がかかるかも当然わからないですよね。でも大丈夫!今回は建築・不動産のコストプランニングの専門家である橋本 真一先生に伺いながら、ひも解いていきましょう!


左:田形研究員、中央:清水千弘さん、右:千葉研究

田形:はい、今回も頭をフル回転させて頑張ります!それでは橋本先生、本日はよろしくお願いいたします!

橋本:こちらこそ、よろしくお願いします!

1)工事費を理解するために、見積りの基本構成を知ろう!

橋本:見積りについては、よくお話する機会があるのですが、すべてを理解頂けるように説明するのはなかなか難しいお題です。だから、大切なポイントに絞ってお話ししていきますね。

まず、皆さんがどんなことにコストがかかっているかを知るには、見積りの記載内容が基になるので、そのあたりを軸にお話してみましょう。

基本的にリノベーションなど建築の工事見積りというのは、施工する側の立場から作成されているので、どうしても一般の方が見てわかりにくいものになってしまいます。そのため、総額の部分だけに目が行ってしまい、「高い!」となってしまう。決して安い金額の工事ではないので、支払う側として見積りの基本的な見方をおさえることが、内容の理解するための大切なポイントです。

田形:見積りの基本的な見方、ですか?

橋本:はい。見積りを理解することは、工事だけではなくてリノベーションの全体像を理解することにつながりますから。

私は日本建築積算協会という団体の理事を務めていますが、そこでは、設計図や仕様書から材料などの数量を公的なルールに基づいて算出して、工事費の見積りを出す「積算」の専門家の教育や資格認定を行っています。その内容も踏まえて説明いたしましょう。

田形:是非、私のようなビギナーにもわかるようにお願いいたします!

橋本:では、まず見積りの構成からお話ししていきましょうか。今回は、公共の建築工事でも用いられているメジャーな考え方を基にご説明しますね。

建築工事の見積書には建築工事・設備工事、一般管理費などの項目が記載されていますが、これは「種目」と呼ばれています。その内訳として解体工事・塗装工事・内装工事といった「科目」、さらにその下に材料や施工内容の数量や単価といった「細目」があります。これらの数量、単位、単価から求めた金額を合計して見積り額を出していきます。

田形:なるほど、3階層に分かれているんですね。

橋本:これらを理解していないと、見積りの最初のページにある「種目内訳」の合計金額だけを見て「ああ、高いな」「あっちの会社の方が安いな」といった総額レベルの判断しかできなくなり、工事の内容や品質にまで目がいかなくなってしまいますね。

2)実際どんな内容がはいっているの?

田形:それでは具体的に工事の見積りにはどんな内容が入っているのかお聞きできればと思います。

橋本:基本的には、職人さんの作業といった「人」の手間にかかるコストと、資材や設備機器といった「モノ」の調達にかかるコスト、またそれらには含まれない「その他」のコストが合計されて見積りはつくられています。

田形:お!図が出てきましたね。あれ?でも「人」と「モノ」とは別の形で「その他」があるんですね…

橋本:いいところに気づきましたね。工事を行うための「人」と「モノ」はリノベーションの空間を施工するための「直接工事費」、「その他」の部分は施工を実現するために必要な「共通費」として考えることができます。
工事費の構成は下記のような内容です。「その他」については、後ほどご説明しますね。

橋本様 提供資料

さて「モノ」の話に戻りましょう。「モノ」にはもちろん数量がありますよね。 設計図に基づいて、壁を塗る塗装の面積やフローリングを貼る面積などを計算します。実は、この算出方法にもルールがあります。でも実際のところは、各社により考え方には多少差異はありますね。

例えば、部屋の壁に塗装を塗るとしましょう。壁には所々に窓があったり、ドアがあったりするじゃないですか。そうするとその部分の面積は塗装を塗る面積から引かれますよね。

田形:たしかに!ただ、小さな窓や換気口などの寸法を全部計算して塗装を塗る面積から引いて見積りを出すとなると、とても煩雑そうです……。

橋本:小さい部分ではありますが、積み重なるとそれなりの数量になってきますから、数量計測のルールは大事なポイントなんですよ。「建築数量積算基準」では、0.5㎡以下の開口部は面積を引かなくてもよいことになっています。これらのルールに沿って算出すれば、見積書の数量のバラツキも少なくなります。

千葉:ちなみこの「モノ」の部分でお客さまから「何でこんなに定価と値段が違うの!?」とよく驚かれるのが、キッチンやユニットバスのような大きな住宅設備です。メーカーや製品によって定価に対し掛け率の設定がバラバラで、施工会社によっても違うんですよね。

橋本:メーカーは定価を設定していますが、見積書には施工会社が仕入れた金額に基づき、その会社が判断した価格が記載されます。その価格はメーカーとの取引関係や商品の在庫状況などによっても変わりますので、どうしても掛け率にはバラツキが出てしまいます。

千葉:同様にお客さまからよく聞かれるのが「現場管理費」です。「人」の部分と「モノ」の部分以外の「その他」にかかる内容にあたるかと思いますが、具体的にどういった内容でしょうか?

橋本:現場管理費というのは、主に「現場監督の人件費」と考えてもらっていいと思います。工事の際に大工さんと設備屋さんが同時刻にぶつからないように調整したり、材料や資材の発注および搬入のタイミングを調整したりといった、工程管理の手間。また、設計どおりに工事が行われているか品質を確保する手間などの費用ですね。新築の現場よりもリノベーションは現場管理が大変かもしれません。解体作業がありますし、解体した後の下地等の品質確保や工程の調整も大切な作業です。さらに、マンションですと他の居住者さんが既に生活してる場所での工事ともなりますので、現場管理は新築現場以上に細かなものになりがちです。

ちなみに大工工事や、電気・給排水工事などの職人さんの人件費は、全て各工事の見積りに入りますので、現場管理費には含まれません。

田形:現場監督さんの手間賃、ということなんですね。どのように計算されるものなのでしょうか?

橋本:ベースとなっている考え方は、工事の期間に現場監督が現地に駐在する人件費となりますが、「工事費に対し何%」など、各社で設定しているのが一般的です。工事の難易度にもよりますので現場によって様々ですね。

また、わかりにくい費用としては、「一般管理費」でしょうか。現場監督が務めている”会社を運営するための費用”がここに含まれます。

例えば、受注までの商談や提案にかかる営業コスト、テレビCMなどの広告宣伝費、会社の間接部門等の人件費、事務所の家賃、通信費、事務消耗品などが含まれます。あと、引き渡し後の保証等のコストも「一般管理費」に含まれます。会社によっては、「現場管理費」と「一般管理費」を合計した「諸経費」と記載されることもあります。

こういった管理費が「その他」の費用に含まれるんですね。

 つづきはリノベる公式noteでチェック!

いかがでしたでしょうか?つづきが気になる方が多いのでは?

このつづきは、リノベる公式note『リノベを科学する』を是非チェック!▼▼

note.renoveru.co.jp/n/nb4ea9c9050ef