皆さん、こんにちは!
今回は徳島県上勝町にある、上勝町ゼロ・ウェイストセンターに行ってきました。
町を挙げた取り組みと、目を惹く廃材利用のディテールが盛り込まれた町の施設をレポートします。
目次
上勝町ゼロ・ウェイストセンターとは?
上勝町ゼロ・ウェイストセンターは、元々街にあったごみステーションをリニューアルし、視察者のための宿泊施設「WHY」を併設した複合施設です。前身のステーション機能に加え、地元の人の交流スペース、日常的に利用できるコインランドリー、ワークショップ施設が備わっています。
上勝町ゼロ・ウェイストセンターにはどうやっていくの?
徳島県上勝町は、標高700mの山々に囲まれ、棚田や段々畑の風景を残す人口約1400人の四国一小さい街。過疎化が進み、高齢化率は50%以上にもなります。
徳島阿波おどり空港から車で約1時間5分、市内から車で約45分程度です。バスを乗り継ぐ方法もあります。
現地に到着
敷地内に入ると、まず最初にぐるっと大きく弧を描いた屋根形状が目に入ります。これはアイレベルでは直観的に分かりませんが、「HOTEL WHY」を含めた施設全体が、ごみの要否を問いかける『?』の形状をしているためです。建物の弧の部分が地元民向け、端部が来訪者向けとなるよう、用途もエリア分けされています。
施設利用の様子
来訪者の視察可能時間と地元民の推奨利用時間は分けられているため、着いた時の地元の人の入りはまばらでした。これは過去に「ゼロ・ウェイスト宣言」を上勝町が行ってから町外の視察者が増え、「また後で来よう」と地元の方が帰ってしまっていた事に起因しています。屋根の下にはいくつものプラスチックかごやドラム缶が置かれており、細かく物が分けられていました。
一般的な分別は勿論の事、リサイクルの可否、費用発生の要否に合わせ「廃タイヤ」「はぶらし」「シャンプーの詰め替え袋」「おむつ類」まで、計13種45品目に分けられています。子供服やまだ利用が可能な食器などは、隣接するリユース施設『くるくるショップ』に置かれ、次の使い手を待っています。
施設を繋ぐ木屋根と魅力的なファサード
上勝町ゼロ・ウェイストセンターは、うねるような木架構で大きく持ち上げられた、細長い曲線状の屋根で繋がっています。ここの主軸となる支持柱には、町内産のスギの丸太材が三枚卸しのように縦に裁断され使われています。
また、2種類ある柱のうち三角形の支えは、トラックが入る所・室内になる所で、それぞれ利用がされやすいよう、手前・奥と平面位置が変えられています。
施設の顔とも言えるのが、廃建具を使ったペアガラスのファサードです。この建具群は、施設計画に伴い、町内から募って集めたそうです。その数なんと700枚!!(人口1400人という事は・・・平均1人2枚?)採寸は町民の方々の手を借りたとの事ですが、これを一つ一つ設計図にあてはめて計画した設計者の苦労が偲ばれます・・・。
勿論、個々の建具はそれぞれ経過年数、形状共にばらばらなので、離れて見ても色や古さのばらつきは明確に見て取れました。ただ、木という風合いを魅せる素材が為す技なのか、その違いさえ私には建物自体が発信する街の“味わい”のように見受けられました。
廃素材を利用したインテリアの数々
こちらの施設で興味深いのは、家具や床材等、廃素材を活かしたデザインの数々です。設備用のガラリにはしいたけ工場の収納かご、外に添えられたベンチには工事で使用された塗装缶、割れた硝子と食器を骨材にした洗い出しのモルタル床、300個の硝子ビンを集めたシャンデリア・・・。互い違いの物が集められ、施設にぴたりと備わっている佇まいは必見です。ぜひ全部見つけてみて下さい。
まとめ
上勝町ゼロ・ウェイストセンターは、設立の背景のみならず、設計への工夫や地産地消の構造材、分別システムなど、「ゼロ・ウェイスト」のコンセプトがぎゅっと詰まった施設でした。ここで全てを説明するには枠が足りません。是非、ご自身の目で見てきてください。