~この記事でわかること~
- オフィスリノベで68%のCO2排出量と94%の廃棄物排出量の削減を確認
- 企業CREにおけるビル等のリノベも脱炭素社会におけるソリューションに
- リノベで循環型社会の実現を目指す
先日、リノべる株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:山下 智弘、以下、リノベる)、金沢工業大学、国士舘大学の産学共同研究によるリノベーションの環境負荷軽減効果測定の第2弾の調査結果が発表されました。
以前、「集合住宅リノベーション」でのCO2削減効果と廃棄物削減効果についての産学共同研究結果をこちらでもご紹介しましたが、この度新たに、「NTT東日本の複合施設リノベーション」を対象に、公共施設におけるCO2排出量削減効果と廃棄物排出量削減効果の評価を実施しました。
第一弾の調査結果はこちら↓
リノベーションが脱炭素社会に貢献!1戸あたりでは、杉の木7,500本の年間吸収量の削減効果?!
住宅リノベーションが新築住宅よりも環境負荷が少ない選択肢であることは、社会的にも認識され始めていますが、数値化による人々の認知度はとても高く、前回の集合住宅での調査に引き続き、今回は公共施設でも大幅なCO2削減への貢献が確認されたことで、現在、より一層リノベーションへの注目が集まっています。
では早速、そちらの研究について詳細をみていきましょう。
目次
どんな研究内容?
リノべると金沢工業大学 佐藤考一研究室/国士舘大学 朝吹香菜子研究室は、NTTアーバンソリューションズ株式会社、NTT都市開発株式会社、東日本電信電話株式会社神奈川事業部とともにリノベるがリノベーションを実施した神奈川県川崎市の複合施設「BOIL」を対象に、リノベーションによるCO2排出量削減効果と廃棄物排出量削減効果の評価を実施しました。
▼対象物件
BOIL 溝の口
1972年に竣工したNTT溝の口ビル(神奈川県川崎市、延べ床面積:1293.77㎡、規模・構造:地上4階建て・RC造、用途:事務所)を一棟リノベーションした、サテライトオフィス・コワーキングスペース・ダンススタジオ・シェアキッチン・ブルワリーからなる複合施設
調査結果
1.CO2排出量調査結果:建替新築とリノベーションの比較(※1)
既存建物解体・設計監理・資材製造・建設段階を評価の場合
1棟あたりのCO2排出量は、建替新築した場合に比べて68%削減され、削減量は約947tと算出された。
2.廃棄物排出量調査結果:建替新築とリノベーションの比較(※2)
既存建物解体・建設段階を評価の場合
1棟あたりの廃棄物排出量は、建替新築した場合に比べて94%削減され、削減量は3,021tと算出された。
(※1)評価は、各建物の既存建物の図面、リノベーションの竣工図面及び見積書から資材の種類・物量を算出して実施。設計・資材製造・建設段階のCO2排出量は、一般社団法人日本建築学会が公開する「一般建物用LCAツールVer5.00」を用いて算出。
(※2)評価は、既存建物の図面及びリノベーションの竣工図面を用いて、建物本体に由来する廃棄物の種類・物量を算出。
引用:リノベるプレスリリース
オフィスリノベで杉の木10万本のCO2削減量……!
上記の調査結果からも見える様に、既存の建物を解体→建て替えすることによる環境負荷は計り知れず、日本社会で今まで「常識」とされてきたスクラップアンドビルド方式はこれからの循環型社会に適していないことが更に鮮明になりました。
今回の調査結果にあたりリノベるは次の様にコメントをしています。
“
「BOIL」の既存建物解体・設計監理・資材製造・建設段階におけるCO2排出量削減量は約947tとなり、これは杉の木約10万本が1年間に吸収する量(※3)と同程度で、杉林約108ヘクタール分、明治神宮約1.5個分(※4)に相当します。
今回の研究は、2021年11月30日発表の集合住宅の環境負荷軽減効果測定に続く第2弾となります。本研究により、企業のCREにおける事務所・ビル等のリノベーションも脱炭素社会におけるソリューション提案の一つとなり得ることが確認されました。
今後も、様々なプロジェクトを通してCO2削減量や廃棄物削減量の定量化を行い、リノベーションが環境に与える影響を検証、発表し、リノベーションによる循環型社会及び脱炭素社会の実現に寄与してまいります。
”
(※3)適切に手入れされている36~40年生のスギ人工林1ヘクタール(1,000本の立木)が1年間に吸収する二酸化炭素の量を約8.8トンと推定(林野庁試算)
(※4)明治神宮の広さは約73ヘクタール
引用:リノベるプレスリリース
リノベーションは環境負荷軽減に確実に効果がある
エコバックを使う、マイボトルを持つ、移動手段は自転車で………など、日常生活の中でのCO2削減のための取り組みは人々の生活に着実に染み付いてきていますが、より大きな単位でのCO2排出を考えると建築業界は改善しなければいけない問題が山積みなのが現状です。
現場レベルの実務の中でCO2削減が果たしてどこまで実現できているのか可視化は難しく、また、業界全体での現実的な脱酸素化に向けての道のりはまだ始まったばかりですが、今回のリノベるの調査結果は、リノベーションによって、クリーンで明るい未来が夢ではなく確実に実現できるのだと前向きな確信を与えてくれるニュースではないでしょうか。
リノベノシゴト内でも、引き続きリノベーションで脱炭素社会の実現に向けて実践できる耳より情報や最新のニュース等も積極的に配信をして行きたいと思います。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
▼関連記事はこちら
リノベーションが脱炭素社会に貢献!1戸あたりでは、杉の木7,500本の年間吸収量の削減効果?!
日高啓道 / まほろば設計、増田忠史+蜂谷伸治 / MASS & HACHIによる、 東京・世田谷区の「オフィスリノベーション 駒沢」