~この記事でわかること~
- 雑誌やSNSの躯体現し≠ 実際の躯体現し
- 躯体の状態は解体してみないと分かりません!
- 躯体の状態の良し悪しは好み次第
- 吹付け断熱材は取るべからず
以前、解体をして分かる・ビックリすることの記事を書きましたが、今回はその第2弾です。
今回の解体ビックリは『現れた躯体の状態』のビックリあるあるです。
解体をしたらどういう状況だったのか、対応方法なども合わせてみていきたいと思います。
目次
躯体現しの現実は厳しい?
マンションリノベに憧れているお客様から多いのが「壁や天井を躯体現しにしたい!!」と言うリクエストです。躯体現しは雑誌やSNSなどでもオシャレにカッコ良く写っていますよね。
お客様のイメージは、恐らく下記の写真のように綺麗な壁状態をイメージしている方が多いのではないでしょうか?
ちなみに下記写真の壁は “ 新築時から躯体現し風仕上げ (躯体+モルタル) ” に仕立てた壁かと思われます。
しかし、何かしら仕上げがされているマンションでは、写真の様に綺麗に仕上げあられた躯体は恐らくなかなか無いです。
では、実際に解体してビックリする状態はどういう状態か具体例を2つ挙げてみていきましょう!
躯体天井・壁が汚いってどういうこと?
例としては、躯体の見た目や状態が悪い事を指します!
具体的には…
- カビや結露跡、サッシ廻りの水染み
- 型枠跡
- 木片やゴミが躯体に埋まっている
- 寸法や指示などを躯体に直接書いた跡
- 風化による変色、ヒビ割れや劣化
※竣工図や現調で予測できる場合が殆どですが、竣工図が無くリフォームされた物件で「直貼クロス・PBボンド施工だった場合」、下地跡が残ります。
⬇︎PBボンド跡の例
躯体が汚かったら現しに出来ない??
躯体が汚かったからと言って、躯体現しに出来ない訳ではありません!
第一にお客様の『好み・許容』の問題
同じ躯体の状況を見ても、お客様によっては風化や当時の名残り=味として気にしない方もいれば、そのまま現しにするのはちょっとという方もいらっしゃいます。
基本的に住むお客様が納得されれば、計画通り躯体現しのままで良いかと思います。
ただし、コンクリートがボロボロで中の鉄筋が見えている等、構造に問題がある場合は別です。
好みでなければ仕上げ変更
もし、実際の躯体の状態がお好みでなければ仕上げの変更が必要になります。
- どうしても綺麗な躯体現しにしたい場合 → 躯体+モルタル
- 躯体の質感は良いけど汚れ等が気になる場合 → 躯体+塗装
- カビが気になる方 → 断熱材+下地+仕上げ
(躯体のカビ除去はかなり費用・日数が掛かる可能性が高いです)
上記に挙げた例の様に状態・ご希望によって変更が必要になりますが、どの場合も躯体現しからすると追加費用が発生する変更になります。まずはお客様に現状を確認していただきましょう!
予想していなかった吹付け断熱材が現れたら除去していい?
過去の記事でも書かれていますが、断熱材は既存に施工されていなかった場合、出来れば施工することをオススメするぐらい重要です。
既存の吹付け断熱材は残す
躯体現しを計画していた場合は、新規下地(残っていれば既存下地)+仕上げで追加費用が発生しますが、断熱材の機能も合わせてお客様に説明し、残すことを推奨して下さい。場合によっては断熱材を除去したところが結露してしまいカビが発生することもあり得ますし、寒さにより快適とは言えないお部屋になってしまう可能性もあります。
吹付け断熱材を完全=綺麗に取り除くことは難しい
そして、実際に取り除くリスクをとった場合であってもハードルが残ります。直貼クロスを綺麗に剥がすことが難しい様に、吹付け断熱材も除去ムラが残る可能性が高いということです。
また、除去範囲にもよりますが、人工や高費用が掛かる可能性が高いです。
吹付け断熱材を残すより取り除く方がリスクやデメリットがあるかと思います。
その点をしっかりお客様に説明し、判断・選択をしてもらいましょう!
何か対策はないの?
目に見えない場所なので、予防や対策は難しいのですが確認ポイントがいくつかあるので参考にしてみて下さい!
①お客様に実状を知っていただく
「躯体の状態は解体してみないと分からないこと」
「様々な見た目の状態があること」などを説明して、理解していただく必要があります。
②吹付け断熱材は折り返しに注意
断熱材は基本的に外気に面する壁や天井に施工されています。
そして、外気に面する箇所をしっかり覆う様に室内側に折り返して施工していることが多いです。
折り返し部分の断熱材があることも忘れがちなので注意して下さい!
前回の解体ビックリあるある同様、知っているのと知らないとでは、シゴトの仕方が異なってくるかと思います。躯体の状態は解体しないと分かりません!どの様な状態の可能性があるか事前に説明して、変更が必要な時の判断をスムーズにし、“聞いてなかったクレーム” を予防できるようにしましょう。