東京にもう10年近く住んでいるのに、都内を走る電車のなかで不思議とあまり乗る機会がなかった京王・井の頭線。
吉祥寺での打合せを終えて渋谷に戻る前に、下北沢で途中下車して気になっていた場所を訪れました。
▼筆者紹介:hayato nozawa
インテリアデザイナー/ミーハー心を満たすために日々生きてます。楽観主義。ドポジティブ。寄り道が趣味。
目次
『下北線路街 ボーナストラック』とは?
昨年、駅舎の改修が終わり、面影がないほどきれいになった下北沢駅を降りて、商店街を南に向かって歩きます。
高校生で初めて下北を訪れたとき、海外のテレビクルーに突然マイクを向けられて、彼女の前で一言も喋れなかったのを思い出します…。
さて、気になっていた場所の一軒目『下北線路街ボーナストラック』
下北を通る小田急電鉄とUDSによる再開発です。
一見すると区画整備された住宅地のようにも見えますが、
建物ひとつひとつの形状が異なり、それらがズレながら連なる長屋のような構成になっています。
設計はツバメアーキテクツ。
商いと呼ぶのがマッチするようなコンパクトで親しみやすいお店が並んでいます。訪れたのが夕方だったからか、すでに閉店しているお店もちらほら。
なかでも懐かしかったのは、本(Book)とビール(Beer)のお店『B&B』
こじんまりしていたお店からここへ移転してきたようです。
前のお店の雰囲気も好きで、下北の現場確認のついでに立ち寄ってビールを飲んでいたものです。
それにしても “ボーナストラック” っていいネーミングですよね。
おまけ、ご褒美、最後のひとくち…。
なんとも甘美な響きです。
『下北線路街 空き地』って?
続いて、下北沢駅の逆側に向かいます。
こちらもUDSと小田急電鉄による期間限定の空き地活用プロジェクトです。
こちらは夕方からが本番かのように、タープの下でビールを楽しむ海外の方が映えてます。
こちらも設計はツバメアーキテクツ。
コンテナを使った仮設的なものですが、少ない手数でより大きな街の賑わいを生んでいるように見えました。
『猿田彦珈琲』で一杯…。
南北に歩き続けたせいで汗だくだく倒れる寸前です。
ビールが飲みたいけど一応まだ仕事中…。
電車に乗るまえ最後に立ち寄ったのが『猿田彦珈琲』
猿田彦珈琲の設計といえばお馴染みの、谷尻誠・吉田愛率いるSOPPUSE DESIGN OFFICEです。
高低差を活かしたスキップフロアの店内は、レンガとその色の左官をベースに、淡いグリーンのデッキ材とリン酸処理された鋼板がちょこっとあるだけのマテリアルを絞ったインテリアです。
感染症対策のため店内の人数制限が徹底され、タイミングよく座れて涼めたのはラッキーでした。冷たいほうじ茶ラテで流し込んで無事復活。
下北の街を歩いていて印象的だったのは、路面にテラス席を設けた飲食店がほかの街に比べて多かったこと。
テラス席は街の賑わいに大きく貢献するので、もっと積極的に増やしていけばいいのにと常々思っていますが、そういう意味ではこの街で感じるエネルギーや活気の良さはグランドレベルから溢れているのだなと感じました。
このご時世というのもありますが、テラスはどこも繁盛していたのを見て、夏のあいだにリベンジビールをキメると密かに誓いました。