コロナウイルスによって東京五輪の延期が議論されていた3月22日に、清水寺へ向かう東山の坂の途中に開業した『The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu』
旧・清水小学校をリノベーションしたプリンスホテルグループの新業態です。
支配人のご好意で、館内の隅々までぐるっとご案内いただきました! リノベ好きには必見の記事です。
目次
①『The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu』とは?
The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu は、明治2年に開校し、昭和8年に今の場所へ移転新築された旧・清水小学校の校舎をリノベーションしてつくられたプリンスホテルの新業態。
築87年の躯体のポテンシャルを最大限活かし、小学校の面影を強く残したホテルです。
②アプローチから大迫力
建物が建つ傾斜地の特性を活かした大階段がゲストを出迎えてくれました。
この階段は建築当初から残されているもので、小学校だったころは児童が駆け下りて遊んだり、腰掛けておしゃべりを楽しんだ場所だそう。
こどもの頃、大きな階段を見つけてはじゃんけんして「グ・リ・コ」とかやりましたよね(今のこども達もやるのだろうか)
古い郵便ポストも場所を変えて既存利用。歴史の長さを感じます。
③感動の連続が始まる…!
中庭の大階段を横目にピロティを進むと、早速、歴史ある校舎の趣を残した空間。
元は音楽室だった場所で、当時の写真や地域にまつわる資料を展示するアーカイブコーナーとなっています。
アーカイブコーナーを抜けた先にはゲストラウンジ。
滞在中は無料で使えるホテルゲスト専用の空間です。
窓ガラス越しに見える別棟では、アラン・デュカス率いるデュカス・パリが監修する「ブノワ京都」が出店!
京の旬の食材を使った料理がだされるとのことで、泊まる際は、いや泊まらなくても食べに行きたい。。。
都内だと『ブノワ表参道』か、銀座シャネル内にある『ベージュ アラン・デュカス東京』があります。
屋上には法観寺八坂の塔と京都の街を一望できるルーフトップバー「K36 Rooftop / The Bar」
市内の「K6」を立ち上げたバーテンダーの西田氏が監修したバーです。
あいにく日中に伺ったので夜の雰囲気を感じることはできませんでしたが、ここで飲んだらめちゃくちゃ気持ちいだろうな。。
ちなみに、東京・兜町のリノベホテル「K5」とは姉妹でも親戚でもありません。
④気になる客室は…?!
続いて客室へ案内していただきます。廊下ひとつとっても抜かりのないカメラ映えよ。。
長い廊下に敷かれたカーペットは、東方を守護する伝説上の四神獣「青龍」の”鱗”をモチーフとしてデザインされた特注。
ベイブレード世代には“ドラグーン”というと馴染みがあるのはないでしょうか(?)
屋号の”Seiryu”はてっきり清水の地名から「清(い)流(れ)」だと思っていたのに違ったようです。
特に印象に残っているのが、この小学校特有の広い踊り場を持つ屋内階段。
手すりや段鼻などの木部は既存利用していて、大小様々な傷跡が87年の歴史として刻まれていました。
手すりに腰かけて滑り降りるのは、日本人なら誰もが経験済みのはず。床面のタイルは新規で貼っているものですが、当時の柄タイルを忠実に再現されています。
この階段に限らずなのですが、清水小学校の卒業生がゲストとしてホテルを訪れると、随所に残されている小学校の面影を見て思い出話で盛り上がったり、中には思い出して涙ぐむ人もいるそうです。廃校になった母校が取り壊されずにホテルへとリノベーションされて、卒業した今でも通うことができるってめちゃくちゃ素敵じゃないですか。。
見せていただいたのはホテルにたった1室のみのスイート。広さは136.3㎡。
傾斜地に建っているため、室内からでも京都の街並みが見渡せます。
キングサイズのベッドとお風呂からは八坂の塔が見え、京の街を身近に感じられます。
こちらの洗面ボウル。原設計ではオーバーフローの穴はついていなかったそうです。
海外セレブが使う洗面ボウルには、その穴がついていないこと知っていますか?
私は知りませんでした。
ミニバーも充実しています。
スイートはこちらの1室だけですが、全48の客室はひとつとして同じ間取りがなく、訪れるたび新鮮な気持ちになれるのもまたよきです。
⑤これぞ贅の極み…!プライベートバス
かつての講堂につくられたプライベートバスへは、増築部分の渡り廊下を通って向かいます。
丁寧に保存された講堂の外壁から当時の瓦屋根までを手が届きそうな距離で見ることができ、ここもまた卒業生ゲストの感動ポイントなのだそう。
講堂ならではの天井高を活かした開放的なプライベートバスは3室のみ。眺望を見下ろせる露天風呂ともまた違う贅沢な癒やし空間になっています。
この日の京都は雨が降ったりやんだりのジトッとした天気。
ベタつく体をさっぱりさせたかったのですが、そんなことを申し出られる雰囲気ではありませんでした。
⑥荘厳な雰囲気すらあるレストラン
同じく講堂内につくられた 『restaurant library the hotel seiryu』ここでも柱、梁、天井の意匠は既存そのままに、シンメトリーに設えられたモダンな空間になっていました。図書館のようなたくさんの本に囲まれたインテリアは、改めて学校だったことを思い出せてくれます。
⑦まとめ
The Hotel Seiryu Kyoto Kiyomizu は、数あるプリンスホテルのなかでも最上位グレードに位置するホテルです。
それがピカピカの新築ではなく、築87年の小学校をリノベーションしたものだということにリノベーションのポテンシャルの高さを再確認しました。
また、ホテルのデザインが素晴らしいのはもちろんのこと、館内を案内してくださった支配人が、まるでその一員のように卒業生ゲストの話を嬉々としてされていたのも印象的でした。
国内のホテル開業ラッシュはまだまだ続きそうですが、このようなホテルがひとつでも多く増えるといいですよね。京都での贅沢ステイにはぜひ。
運営/経営
事業主:NTT都市開発株式会社
ホテル運営:株式会社プリンスホテル
ホテル経営:UDホスピタリティマネジメント株式会社
基本設計:株式会社東急設計コンサルタント
設計・施工:株式会社大林組
デザイン監修:株式会社乃村工藝社A.N.D.
▼筆者紹介:hayato nozawa
インテリアデザイナー/ミーハー心を満たすために日々生きてます。楽観主義。ドポジティブ。寄り道が趣味。