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2022.08.18

エアコンの隠蔽配管とは?メリット・デメリット・注意点を徹底解説

エアコンの隠蔽配管とは?メリット・デメリット・注意点を徹底解説

この記事のポイント!

  • お部屋をすっきり見せたいなら「隠蔽配管」がおすすめ !
  • スリーブの個数・大きさによってエアコンの仕様・台数が決まってくる
  • 隠蔽配管の施工とエアコンの取り付けはできるだけ同じ業者(リノベ業者)に依頼しよう!
  • メンテナンスの事も考えて計画しよう!

今年の夏は例年に比べ暑さの厳しい日が続き、少し外に出ただけでも汗だくに・・・。
猛暑になると注目されるのがそう、「エアコン」です。
エアコンは今やおうちに欠かせない家電のひとつとなりました。

リノベーションの設計時にもエアコンについての打ち合わせは必ずと言っていいほど発生します。そして、エアコンの設置の際に特に注意したいのが、「配管」です。配管やエアコンってちょっと苦手・・・という方もいると思います。

そこで今回は配管の中でも難易度の高い「隠蔽配管」についてご紹介します!エアコン関係の配管が苦手な方はこの機会に克服していきましょう!

 

エアコン各部の名称を確認していこう!

本題の「隠蔽配管」のご紹介の前に、エアコンのパーツについて確認していきましょう!


引用元:コジマネットHP

・室内機
中に入っている熱交換器で、室内機に取り込んだ空気を暖かくしたり、冷たくしたりしています。

・室外機
エアコンは室内機と室外機で1セットとなっています。搭載されている「圧縮機」で冷媒ガスを循環させています。

・電源コンセント(専用)
消費電力が大きいので、専用コンセントが必要です。100Vのものと200Vのものがあるので、施工前に必ず確認しましょう。

・ドレンホース
室内の空気を冷やす時に室内機内に水が発生します。その水を外に排出する際に使用するホースです。

・配管
室内機と室外機を繋ぐ配管で、中には冷媒が通っています。2分3分(にぶさんぶ)と2分4分(にぶよんぶ)の2種類があり、容量などによって異なる為、必ず確認しましょう。
①2分3分配管:5.6W以下のエアコンに多い
②2分4分配管:6.3W以上の容量の大きいエアコンに多い

・配線
室内機と室外機を繋ぐ電線になります。

・スリーブ
配管や配線を室内から屋外に出す為、コンクリート躯体に穴を開けて配線などを通す必要があります。その時に開ける穴の事をいいます。
リノベーションの際には新規に躯体に穴を開ける事が難しいので、基本的には既にあるスリーブを使用します。

「隠蔽配管」って何?メリット・デメリットは?

では今回のテーマである「隠蔽配管」とはなんでしょう。
まず配管の施工方法には大きく分けて「露出配管」と「隠蔽配管(先行配管)」があります。

※露出配管

露出配管とはその名の通り、室内機からの配管が露出している配管の事をいいます。家電量販店でエアコン設置をお願いすると露出配管となる事が多いです。

露出配管のメリット工事が簡単、家電量販店でも対応できる。配管のメンテナンスが簡単な事です。
デメリットは空間がごちゃごちゃしてしまってあまり美しくありません。

※隠蔽配管

隠蔽配管(先行配管)とは室内機からの配管が壁の中に隠れている配管の事をいいます。配管工事完了後に壁を施工していくので、露出配管と工程が異なります。

隠蔽配管のメリット空間がすっきりとして綺麗に見える事です。
デメリットは配管が壁に隠れている為、メンテナンスが大変な事です。配管内でトラブルが生じた時に、原因を特定するのが難しくなってしまいます。
トラブルが生じた際に配管を交換する場合も、壁を壊す必要が出てくるので工事範囲が広くなってしまいます。
また、露出配管に比べ、費用がかかる事が多いです。
なお、躯体現しの場合には隠蔽配管はできません。

それぞれ一長一短があるので、メリット・デメリットをきちんと説明し、露出配管か隠蔽配管かを選択していきましょう。

現地調査時に注意すべきポイント!

では隠蔽配管にする場合どのような事に気をつければ良いのか、順を追って説明していきます。
まずは現地調査からみていきましょう。

【現地調査時の注意点】
1.室外機、室内機の設置場所、個数を確認しましょう。
まずは既存エアコンの設置場所を確認しましょう。古いマンションの場合、エアコンがひと部屋に1台ない場合もあります。

2.スリーブの大きさ、位置、高さ、個数を確認しましょう。

新しくエアコンを設置する時に使います。
スリーブの大きさ、数によって設置できるエアコンの台数、仕様が変わってきます。
既存よりエアコンを増やす計画をする場合はスリーブが足りなくなる可能性があるので要注意です。外壁部分だけでなく、梁にあるスリーブも確認しましょう。
また、スリーブの高さも忘れずに確認しましょう。

3.配管のルートを確認
既存の配管のルートを確認しましょう。

また、現地調査は調べる事が沢山あるので、上記内容も踏まえたチェックシートを作成する事をオススメします。

設計時に注意すべきポイント!

次に設計の際に注意するポイントをみていきましょう。

【設計時の注意点】
1.配管の長さを検討しましょう。
配管が長すぎたり、クランクが多いと配管内の冷媒がうまく機能せず、エアコンの効率が落ちてしまいます。
また、設置後に不具合が生じた際も点検する箇所が多くなってしまいます。

2.適切な勾配が取れるか確認しましょう。
ドレンの勾配は1/50です。勾配が取れるか確認しましょう。
もし勾配が取れなかったとしても、安心してください。室内の生活排水の配管に接続することも可能です。

3.配管がスリーブの径に合うか確認しましょう。
配管の径を確認し、スリーブに通るか確認しましょう。
最近のエアコンは昔のエアコンに比べ、大きなスリーブが必要となる機種も多いので注意しましょう。特に高機能・高性能のエアコンは注意が必要です。例えば、ダイキンの「うるるとさらら」は通常の配管の他に加湿用のホースが必要となります。その分大きなスリーブが必要となってきますよね。

4.スリーブの数とエアコンの設置台数が合うか確認しましょう。
基本的にスリーブを大きくする事や躯体に新たにスリーブを設ける事はできません。設置可能なエアコンの台数はスリーブの数によってほぼ決まります。
既存に比べ、エアコンの台数を増やす場合は要注意です。築年数が経っているマンションをリノベーションする場合や部屋数を増やす場合は気をつけましょう。

5.配管ルートと仕上げを確認しましょう。
躯体現し部分には隠蔽配管はできません。配管のルートには壁などを作る必要があります。隠蔽配管を選択した場合、内装のテイストも配慮する必要があります。

6.配管ルートが長くなる場合には点検口を作りましょう。
エアコンを使用していると配管内に不具合が起きる事があります。隠蔽配管の場合、確認が難しいので点検口をつける事をオススメします。場所は配管のクランク部分や接続部分が良いでしょう。

 

お客様にも上記内容を説明し、理解していただきながら打ち合わせを進めていく事をおすすめ します。

施工時に注意すべきポイント!

最後は施工の際に注意すべきポイントです。どんな所に注意したら良いのか見ていきましょう!

【施工時の注意点】
1.解体後と現地調査時の相違がないか確認しましょう。
解体したら現地調査時の想定と違っていた。なんて事はリノベーションあるあるです。
解体後にもう一度現地調査時のポイントを確認しましょう。

2.エアコンの仕様を確定しましょう。
施工に向け、エアコンの仕様を確定させましょう。エアコンの図面もあるとより良いです。図面は各メーカーのHPからダウンロードする事ができます。
また、エアコンが設置可能かどうかの最終確認をしましょう。

3.エアコンの配管業者と取り付け業者は同じ所に依頼しましょう。
これはどういう事かというと、エアコンの配管はリノベ事業者で行い、エアコンと取り付けは施主支給(家電量販店)という事があります。家電量販店でエアコンを購入すると格安で設置まで行ってくれたりするのですが、これはトラブルのもとになるのでなるべく避けた方が良いです。筆者も一度痛い目に遭っています・・・。

トラブルの内容としては、
・隠蔽配管には設置を承れない。
・配管と室内機が上手く接続できない。
・不具合が起きた時に責任の所在が分からない。
・エアコンが動かなくなった時にお客様がどちらに連絡して良いのか分からない。
などが挙げられます。
そのため、なるべくエアコンの取り付け工事もリノベーション事業者で行う事をお勧めします。

さて今回は、エアコンの隠蔽配管についてご紹介しましたが、いかがでしょうか。

結構確認しなければいけない事が多くて大変そうだな・・・

と感じた若手デザイナーの方も多いかもしれません。
確かに露出配管に比べ、隠蔽配管の方が難易度は高く、気を張る施工方法ではあります。
しかしチェックポイントは限られているので、まずは丁寧に進めながらチャレンジしてみましょう。
分からないことや不安に感じたらエアコンの施工業者さんに相談しましょう。施工業者さんと話し合いながら進めていくと、施工の際に必要な情報や懸念点がわかってきます。
また、メンテナンスの事も考えて計画していきましょう!

他にも下記にエアコンの記事を載せたので、合わせて読んで理解を深めていってください。

それでは、また次回お会いしましょう!

 

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